11月28日に「出版懇親の夕べ」開催 出版界の幹部と交流

 朝日新聞社は11月28日、東京・丸の内の東京會舘で「出版懇親の夕べ」を開催した。今年は出版社・取次会社・広告会社などから約340人の来場があった。1996年から続くこの「出版懇親の夕べ」は今回も、出版界と朝日新聞社が太い絆で結ばれていることを再確認する場となった。

 同会は2部構成で、懇親パーティーに先立ち講演会が開かれた。朝日新聞社編集局経済部、テレビ朝日「報道ステーション」コメンテーター、朝日新聞出版・アエラ編集長を務めた一色 清氏(現・同社役員待遇雑誌統括)が「テレビと紙媒体の違い」をテーマに、テレビ番組出演を通じて感じた各メディアの特性などを個々のニュース事例を挙げながら語った。

懇親パーティーであいさつする朝日新聞社 木村伊量代表取締役社長 懇親パーティーであいさつする
朝日新聞社 木村伊量代表取締役社長

 続いて開かれた懇親パーティーでは、木村伊量代表取締役社長があいさつした。創刊以来の長きにわたり、出版広告が朝日新聞に掲載される広告の中核をなしてきたこと、また、多数掲載される出版広告が、知的好奇心の旺盛な読者をさらにひきつける要素となり、現在の朝日新聞を形づくる重要な役割を果たしてきたことに改めて感謝した。

 衆院選を前に政治家の離合集散が相次ぐ中、木村社長は、「様々な角度から各政策を捉え、自分の尺度にただして判断する力が何より求められている。そのような力を鍛えるためにも、書籍や雑誌、新聞を通じて『読む力』『考える力』を再生していくことが急務であり、それらの再生がひいては日本の民主主義の質を保ち、国力を保っていく礎になると強く感じている」と見解を述べた。活性化する電子書籍端末や電子書籍市場については、「朝日新聞は紙とデジタルの『ハイブリッド型メディア』として、活字に親しむ文化の発展を追求する」と語った。

 また2014年以降に控える消費増税に関しては、英国や北欧などの現状に触れたうえで、知識への課税が活字離れに及ぼす影響に強い懸念を示し、新聞協会を通じて新聞および出版物に対する軽減税率適用を訴えていく旨を表明した。

 この後、和気 靖常務取締役広告担当があいさつに立ち、「長い朝日新聞の歴史の中で、出版情報は一貫して変わらない重要なコンテンツである。今後も、記事と広告の両面から日本の出版文化を推進する紙面づくりにいっそう努め、『知(ソフィア)の現況がわかるメディア』として情報を発信していきたい」と構想を語った。

 最後に、入江英主東京本社広告局長が「出版界の皆様と手を携え、新しいビジネス機会を共に創出していきたい」という決意とともに、長年にわたるご愛顧に感謝の意を表し、大盛況のうちに閉会となった。

(朝日新聞東京本社広告第1部)

「テレビと紙媒体の違い」をテーマに講演する一色清氏 「テレビと紙媒体の違い」をテーマに講演する一色清氏
懇親パーティ会場の様子 懇親パーティ会場の様子