企業、行政、学校が連携する環境教育プロジェクト「地球教室」

3月7日付朝日小学生新聞 3月7日付朝日小学生新聞

 次代を担う子どもたちを対象に企業、行政、学校が連携して取り組む環境プロジェクト「地球教室」は、朝日新聞創刊130周年記念事業として2008年にスタートした。2009年度の総括を、2月17日付朝日新聞朝刊と、3月7日付朝日小学生新聞に掲載した。

 「『環境科』という教科書がない現状で、必要にせまられた教員たちが新聞や雑誌を切り張りして資料を日々作っている。新聞社のデータや写真をもとに子どものための環境教材を作れないだろうか・・・」。現職校長のひと言がこのプロジェクトが生まれる契機になった。
「地球教室」は、以下の4つの柱を1年間で展開している。

1.朝日新聞社がオリジナルで作成した教材(テキスト、DVDなど)の無料配布
2.「環境イベント」の開催
3.記者と協賛企業の社員が学校に出向く出張授業
4.子どもたちによる「環境新聞・作文」コンクール

2月17日付朝日新聞朝刊

環境テキスト「基礎編」(左)と「応用・研究編」(右) 環境テキスト「基礎編」(左)と「応用・研究編」(右)

 教材は有識者、行政、NPO・NGO、朝日新聞編集委員などの協力や大学教授の監修を経て編纂(へんさん)されている。テキスト「基礎編」は取材で蓄積した最新の写真やデータを盛り込んだり、子どもに「気づき」や行動を喚起させるワークブック形式にしたりするなど、現職教諭の要望を反映している。また、世界に向けて発信すべき日本の環境技術や、企業の優れた取り組みなどについて、協賛企業ごとに詳細に記載した「応用・研究編」を別冊として発行している(2009年度は、旭化成、東京海上日動火災保険、NEDOなど)。
 新聞告知を見て応募した小学校(2年間で延べ6,000校・団体、48万人)の子どもたちに教材を贈呈しており、先生方からは生徒に「知って、考えて、活動」してもらうためのテキストがない中で、「地球教室」は大変貴重で価値のある資料だと好評を得ている。

 「環境イベント」は、夏休み中の8月に親子30人を対象に「感じて学ぶ『里』体験ツアー」を新潟県松之山で開催。田んぼや林の中を歩き回り、絶滅危惧(きぐ)種の生き物や植物を間近で見たり触れ合ったりした。また、11月には環境問題に最前線で取り組む方々を講師に迎えた1日学校体験型イベント「みんなのみらい学校」を実施し、親子の環境学習を深めた。

環境イベント
感じて学ぶ「里」体験ツアー 地球教室 in 松之山
「みんなのみらい学校」

 「出張授業」は、全国各地の小学校で開催。前半は本社記者が、連載ルポ「地球異変」などでの取材を通しての思いや世界の状況を語りかけ、後半は協賛企業の社員が環境負荷軽減への具体策や未来に向けた技術革新について語るという、2時間の構成になっている。子どもの質問に即答するなど、直接やりとりできることが出張事業の面白さであり、訪問した学校からは「環境教育だけではなく、キャリア教育の視点からも非常に有意義な授業だった」という感想をいただいている。

協賛企業と朝日新聞記者による出張授業 協賛企業と朝日新聞記者による出張授業

 各企業から提案されたテーマにもとづいた「環境新聞・作文」コンクールでは、「水について考えたこと」など、家庭や地域とのかかわりの中で考えた身近な環境問題についての作品が3,435点寄せられた。このコンクールは子どもたちと協賛企業のコミュニケーションツールにもなっている。

 新聞社が持つ機能を生かし、教育分野において社会的に役立つことが他にもできないだろうか?
 世の中のニーズを探り、学校、企業、地域、行政、NPO等と連携を呼びかけながら、多様な場面での新聞社の可能性をこれからも模索していきたい。

(東京本社広告局 業務推進ユニット)