新聞広告の発展を目的として1952年に創設された「朝日広告賞」。その第1部・一般公募の部は、長年にわたり、クリエーターたちの登竜門として位置づけられている。第56回で最高賞を受賞したのは、大関の「いつの時代にも愛されるワンカップ」という課題に挑んだ、電通のアートディレクター・川腰和徳氏とコピーライター・栗田雅俊氏の作品。その作品のキャラクターが、実際の新聞広告に登場した。
受賞作品では、いかにも周囲にいそうな、酔っ払ってちょっと間が抜けた顔をしたオヤジサラリーマンが随所にあふれ、独特の世界を醸し出す。このオヤジサラリーマンのキャラクターについて、生年月日・家族構成のほか、取得資格からポリシーまで設定するほど徹底している。『サザエさん』の磯野波平がイメージだそうだ。
作品に対して、審査委員でコピーライターの前田知巳氏は「理屈抜きに目を留めさせる抜群の存在感があった」「何より、お酒の持つ気分を『チャーミング性』で表現できていることに好感が持てた」と絶賛した。大関の社内でも、「ワンカップの持つ日常感と、コアターゲットである中高年男性がコミカルにマッチした」と高く評価され、同社が考えるお酒の世界観にぴったり合ったといえる。
今回の出稿では、お酒を飲むときのさまざまな気分の一つひとつを表現しようと、小型広告によるシリーズ展開となった。キャラクターへの動きがさらに加えられ、躍動感が表現されるとともに、いかにもありそうな発言のコピーが、楽しいお酒とオヤジのイメージに拍車をかけている。
このシリーズ広告に対して、大関では「思わず笑えてしまうコピーとキャラクターの動きによって、読者に次の展開を期待させる、ユニークな広告になっている」と評価している。
受賞作品が、その年の広告展開の一つとして採用され、朝日広告賞が掲げている「新たな表現と可能性を追求」を具現したものとなった。
(大阪本社広告局 第2ユニット担当 豊田泰大)