福岡には、韓国からの観光客が多数訪れるが、その中心は主に個人旅行である。韓国人をターゲットとするプロモーション活動が重視され、韓国語接客マニュアルが作成されるなど、受け入れ態勢が整いつつある。しかし、情報発信に関しては、言葉の壁もあり、なかなかできていないのが現状だ。
そこで、朝日新聞西部本社広告部では、朝日広告社(北九州市)とともに日韓2カ国語による情報紙を企画。「釜山・福岡アジアゲートウエイ2011実行委員会(福岡市・釜山広域市)」と共同で、『The Asahi Shimbun/f romHAKaTA211』を発行した。
第1号は2008年11月29日、朝日新聞夕刊のセンター版8ページの「メディア・イン・メディア」として、福岡地区で約5万5千部を配布。同一紙面を海上輸送して、韓国の釜山日報(夕刊紙)に折り込み、約4万5千部を釜山・ヘウンデ地区で配布した。
また、駅や空港などの観光案内所、天神の商業施設「イムズ」、福岡・釜山間を結ぶ高速船「ビートル」の船内や釜山港で設置配布。「JALリゾート シーホークホテル」では、宿泊する韓国人団体客にも配った。
さらに、韓国では新聞に加えてインターネットが特に大きな影響力を持つことを考え、福岡市の観光サイト「よかなび」の韓国語ページと、韓国人向け九州観光情報提供サイト「九州路」でも本媒体を閲覧できるようにした。日本語版は朝日グループ(日刊スポーツ、九州朝日放送)が運営するウェブサイト「はかたターミナル」に掲載した。
発行にあたり、九州大学の韓国人留学生と福岡の韓国語教室講師に協力をいただいたため、韓国人読者の翻訳に対する評判も上々だった。また、エディトリアルデザインで有名な新谷雅弘氏が紙面デザインを担当し、独特なクリエーティブに高い評価をいただいた。
今回の国境を越えた取り組みについて、広告効果への評価はまだまとまっていないが、広告主からは「次回も声をかけてほしい」などの声をいただいている。また、広告専門雑誌からの取材があり、この新しい媒体への注目度の高さを感じている。
(西部本社広告部)
2008年 11/29 夕刊西部本社版(福岡地区)