結成20周年のB'zのライブ模様を空撮、広告号外を会場付近で配布

 日本を代表するアーティスト、B’z。1988年9月21日に発売されたデビュー曲「だからその手を離して」から数えて20周年となる今年は、「Pleasureシリーズツアー」の5年ぶりの開催や、貴重な撮り下ろし写真が収録された20周年記念写真集の発売(朝日新聞出版)など、数々のイベントが予定されていた。そこで、朝日新聞社の持つ力を総合的に生かし、B’z20周年を盛り上げようと、ツアーファイナルとなる9月20日・21日の横浜・日産スタジアムでのライブを軸に据え、企画を組み立てた。

4ページ広告特集と広告号外を観客に配布

B’zデビュー20周年記念写真集『B’z 8808』(朝日新聞出版) B’zデビュー20周年記念写真集『B’z 8808』(朝日新聞出版)

 まず、日産スタジアムに来場したすべてのファンの方々に、会場限定の4ページの広告特集を配布した。20周年を記念した2つのアルバム「B’z the Best ULTRA Pleasure/ULTRA Treasure」に収録された曲を紹介する、この特集のためだけに制作された見開きページと、ライブ前日の9月19日に発売された、記念写真集を紹介する見開きページで構成した迫力あるものである。

 「朝日新聞」の題字が入ったページ(P1)は、写真集の表紙をベースにしたデザインとなっている。写真集そのものの表紙はモノクロであるため、カラーで掲載したこの特集は、ここでしか見られない貴重なものだったといえる。

 次に、ライブを見終えて、感動とB’z20周年への熱い想(おも)いを胸に家路につくファンに対するサプライズとして、新横浜駅、小机駅付近で、「B’z号外」を限定数配布した。

 20日の号外では、7万人の観客で埋め尽くされた壮大なスケール感と、20周年というニュース性を同時に表現するために、ライブ一曲目の模様を本社ヘリから空撮、その写真を号外にして新聞輪転機で印刷し、配布するという、これまでにトライしたことのない“超速報広告”を実施した。

ライブ終了時に配布した広告号外にファンが殺到 ライブ終了時に配布した広告号外にファンが殺到

 以下は、9月20日に号外を発行するまでの当日の模様である。

 17時55分に羽田空港を飛び立った本社ヘリが、18時12分に日産スタジアム上空に到着、ライブ会場を上空から撮影したのち、羽田空港へ再び戻り、18時25分、空撮写真を本社に待機している制作チームへ送信。19時30分、完成した紙面データが日産スタジアム最寄りの川崎工場へ伝送され、印刷開始。20時20分、できたての号外を載せたトラックが川崎工場を出発。21時のB’zライブ終演と同時に、新横浜駅、小机駅付近で号外を配布。

 B’z号外を受け取った方々からは、「信じられない! さっきのライブ風景がもう号外になっている」「20周年のいい記念です、ありがとう」「朝日新聞、すごい!」など、非常に好意的な反応をいただいた。

 限定数で、しかも限られた場所でしか配布しなかったこともあり、20日深夜からブログで多くの書き込みが飛び交った。

ブログやワイドショーで話題が沸騰

 「どうしても欲しい」「号外が配布された場所と別のルートを通ってしまって悔しい」といった声が上がっただけでなく、「誰かゆずってくれませんか?」「明日は配布があるのか?」といったやりとりが繰り広げられるなど、B’z号外に対する関心がファンの間で一挙に高まった。

 そのため、オークションサイトなどでは、号外の売買が活発となり、一時は、無料で配布された号外に4,000円近い値がつくなど、反響を呼んだ。

 また号外配布の様子については、フジテレビの『めざましテレビ』をはじめ、ファイナルライブ終了翌日の朝のワイドショーで大々的に紹介された。ステージ映像や、空撮した動画映像とともに、号外そのものも数分間にわたりキャスターのコメント付きで紹介され、限定数だった「B’z号外」が結果的に多くの人々に知れわたることとなった。

 今回の企画は、まったく前例のない「仕掛け」ではあったが、号外を発行するという「仕組み」は、もともと新聞社が持っている機能の一つである。その仕組みを、少し切り口を変えて活用することで、広告主はもとより、号外を受け取った観客や、実物は受け取れなかったが、ウェブやブログやニュースを通じてその存在を知った多くのB’zファンに対しても、「新しい価値」を提供できたことは、新聞広告の未来を考える上で、とても大きなヒントとなった。

 本企画を実施するにあたっては、社内外の関係各セクションから多大な協力を得たが、その交渉過程の中で、新聞社には広告企画を立案する上で活用できる可能性のある資産が、数多くあることを発見することができた。

 “超速報広告”に続く、新たな仕掛けや仕組みを構築すべく、より一層広告主や読者、新聞広告に携わる方々とのコミュニケーションを深め、新しい価値の創造に取り組みたい。

(東京本社広告局業務推進担当 寺﨑 大)

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ライブ会場限定で配布した広告特集

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