新聞広告でカナダならではの独自性をアピール

 カナダ観光局は5月下旬から7月中旬にかけて計6回、二連版30段のカラー広告を東京本社版夕刊に出稿した。その経緯と今後の広告活動について、マーケティング・プロモーションマネージャーのアンソニー・リッピンゲール氏にお話をうかがった。

アンソニー・リッピンゲール氏 アンソニー・リッピンゲール氏

── 出稿の背景は。

 ここ数年、カナダを訪れる日本人の観光客数は減少しています。そこで、旅行者を呼び戻すためには、カナダの新たなイメージとそこで体験できることを提案する必要があると考えました。また、限られた予算を最大限有効に使うには、今まで各州が単独で行ってきた広告活動を集約するべきだと考えました。

── 新聞広告を選ばれた理由は。

 新聞は団塊世代や団塊ジュニア層にアピールするのに大きな効果を発揮すると考え、キャンペーンの柱に据えました。カナダの最大の魅力である自然、安全性、清潔さと人びとのホスピタリティーを、紙面でアピールしました。

── 広告展開について具体的にお話し下さい。

 アルバータ州とオンタリオ州で各2種、ブリティッシュ・コロンビア州で1種、計5種類のクリエーティブを用意しました。またエア・カナダからは、全広告にご協賛いただきました。

 以前から観光名所として人気のある、ナイアガラの滝やカナディアン・ロッキーといったカナダを象徴する場所だけでなく、5ツ星レストランやホテル、ワインやご当地の料理教室を紹介するなど、カナダを今すぐに訪問したくなるような洗練された情報を組み合わせて発信しました。

── 反響は。

 7月6日に行った「Let's Go海外」フェアで、多くのお客様が我々の広告を見たと言ってくださいました。さらに新聞広告を入り口にしてウェブ上で展開したキャンペーンを通じて、顧客データが7週間で2倍に増えました。こうしたキャンペーンの効果も手伝って、今夏カナダへの注目が高まり、体験型商品の認知が向上してきています。

── 今、課題になっていることと、その解決策は。

 燃料費の高騰やカナダドルの上昇、航空機の座席数の減少や景気の悪さなど、海外旅行をしたい人には大変厳しい現状があります。しかし、私たち旅行業界は、ここで価格競争に陥っては誰もハッピーになれません。

 また、冬場は日本からの旅行者数が減ることも、私たちにとっては厳しい要因です。一方で、この時期は値段も下がり、航空機の座席数にも余裕が出て、逆にお客様を獲得できるチャンスだとも言えます。差別化を図るには、カナダでしか体験できないこと、そして質の高いサービスを提供することが重要です。

 これからは、オーロラ、北極熊、ベルーガ(白イルカ)ウオッチング、2010年冬季五輪会場のウィスラー探訪やカナディアン・ロッキーの古城風リゾートなど5つのユニークな事柄を、積極的にプロモーションしていきます。新聞は我々にとって重要な媒体です。今後も定期的に新聞出稿を重ねることで、カナダの魅力を伝えていきたいと思います。

 7/15 夕刊