サッカー日本代表の強化に向け新聞でアイデアを広く募集

 キリングループは、昨年4月、サッカー日本代表のオフィシャルパートナーとして公益財団法人日本サッカー協会と契約。サッカー日本代表の強化を目指してアイデアを広く募集し、それらをもとにした施策を商品売り上げの一部で実現するキャンペーン「サッカー日本代表応援WEEK 2015」を実施しました。

CSVの発想から生まれた サッカー支援の新たな形

梁 高徳氏 梁 高徳氏

 「弊社は1978年からサッカー日本代表を応援してきました。活動当初は日本でサッカーが今ほどさかんでなく、社会貢献活動の一貫として振興を目指したと聞いています。その一方で、飲料を提供する企業として、スポーツを応援することは、必然でもありました」

 そう語るのは、CSV本部ブランド戦略部・主務の梁 高徳氏。

 日本のサッカーの黎明(れいめい)期からサッカーを応援してきた同社。93年のJリーグの発足によってサッカーが一躍人気のスポーツになると、「サッカーといえばキリン」というブランドイメージが定着。プロモーションにおいてサッカーが大事な役割を担うようになった。

※画像は拡大表示します。 2015年5月25日付 朝刊 2015年5月25日付 朝刊

 それまでの「オフィシャルサポーター」から「オフィシャルパートナー」として新たなスタート切った昨年は、「サッカー日本代表応援WEEK 2015」キャンペーンを展開。ファンやサポーターから“未来のサッカー日本代表が強くなるために何が必要か”をテーマにアイデアを募集し、それらをもとに中学生を対象とした合宿プランを企画。対象商品の売り上げの一部を活用して1泊2日の「KIRINキャンプ」を開催した。

 「資金援助だけでなく、CSV(共通価値の創造)の発想と、『サッカーを通じて人々を応援する』というコンセプトから生まれた企画です。日本代表のオフィシャルパートナーになった機会を捉え、応援の仕方も新たなステージを目指すことになりました」

 中学生の指導にあたったのは、サッカー日本代表のバヒド・ハリルホジッチ監督や同コーチ陣。現役の日本代表監督が一般人を直接指導するというのは、世界的にも極めて異例だ。長年サッカーを支援してきたキリングループへの信頼を前提に実現した企画と言える。

 「育成世代が成長できるプログラムづくりにふさわしい人は誰かと社内で検討し、監督に白羽の矢を立てました。監督は快諾してくださり、寄せられたアイデアやA代表のトレーニングプログラムをもとに中学生向けの合宿プログラムを組んでくださいました」

元日本代表が朝日新聞紙上で選手育成のあり方を提言

朝日新聞デジタル「&」 朝日新聞デジタル「&」

 アイデア募集に際しては、朝日新聞紙上に元日本代表の井原正巳氏と名波浩氏の対談を掲載。朝日新聞デジタル「&」では、ジュビロ磐田の松井大輔氏、元日本代表の福田正博氏などのインタビューを掲載し、サッカー選手の育成に何が必要かを様々な観点から伝えた。

 「現在は指導者として活躍されている元代表の皆さんの提言は、非常に内容の濃いものでした。朝日新聞の読者層は幅広く、コンテンツに対する信頼性が高い。サッカーのコアファンだけでなく、その周辺の人々にも波及効果があったと思います」

 キャンペーンを通じて寄せられたアイデアは、約4千件。数が多かったのは、「若いうちから海外経験を積ませる」「メンタルを鍛える」「育成年代からプロになるまで一貫した指導」といったアイデア。

 「昨年11月末に開催された合宿は、ハリルホジッチ監督やコーチ陣の講義から始まりました。海外での選手の育成事情や、プロとしてやっていく上で精神的に大切なこと、技術的なことなど、講義内容は多岐にわたりました。ピッチ上でのトレーニングは、A代表のそれに近いハードなものでしたが、参加者の技術レベルが高く、指導も超一流だったので、素人目に見ても成長がよくわかりました。保護者の皆さんも口々に『たった2日の合宿なのに、ずいぶんたくましくなった』とおっしゃっていました。“育成”を目的としていたので、うれしい成果でした」

 合宿には取材陣も多くかけつけ、企画の趣旨や、トレーニングの様子がいろいろなメディアで報道された。

 「一連の取り組みが商品の売り上げなどの数値にあらわれない効果も確実にあったと思います。オフィシャルパートナーとなったキリングループ全体でサッカーを盛り上げて行く上で、インナーへの働きかけにもなりました」

 長きにわたりサッカーを支援してきたキリングループ。才能ある若者の将来を見据えて育成に取り組む今回の企画は、同社の伝統の延長線上にあると言える。さらに今後の展開について、梁氏はこう締めくくる。

 「集まった4千件のアイデアは大事な資産です。我々のサッカー応援活動の今後の施策に生かしていきたいと思っています」