10月7日に世界文化社から創刊された女性誌『GOLD』。好景気に沸いた時期に青春を送った45歳から52歳にターゲットを絞り、高級志向の情報を発信している。編集長の内山しのぶ氏に創刊の経緯やコンセプト、今後の展開などについて聞いた。
好景気に青春を生きた世代は今でも輝きたい
――『GOLD』のターゲットを45歳から52歳に絞った理由は。
この世代の最大の魅力は、経験豊富で好奇心旺盛であることです。景気がとても好調な時代に青春を送ったので、若くして一流ホテルやレストランへ足を運び、高級ブランド品を身につけ、海外旅行も楽しんできた実にエネルギッシュな世代です。しかも、その時期に培ったパワーは年を重ねても衰えていません。創刊前のモニター調査からも、今でも面白いことや新しいことに強い関心があり、これから先、妻でも母でもキャリアでもない一人の女性として、どのように輝いていくか、真剣に考えていることが分かりました。
またこの世代は、いずれ弊社の看板雑誌『家庭画報』の読者にもなっていただける可能性も高い。そういった背景から、45歳から52歳にターゲットを絞り「もう一度輝こう」というコンセプトのもと、好奇心を満たすラグジュアリーな情報を発信する雑誌として創刊しました。
――プロモーションでこだわった点は。
『GOLD』の読者は、雑誌に育てられた世代でもあります。今でも雑誌からの情報を欲していて信頼もしている。創刊後、読者の方々からは「こんな華やかな情報を待っていた」という声も届いており、ラグジュアリーな情報を欲していた方が多かったことも実感しています。読者となる方々が頻繁に訪れる場所のひとつ、百貨店でのプロモーションを企画しました。創刊時には、大阪の大丸心斎橋店で、通常は高級ブランド商品を飾るショーウインドーに『GOLD』の表紙のビジュアルをはじめ、雑誌の概要をまとめたディスプレーをおこない、約2週間にわたって大きくアピールしました。
東京では、読者の主要な活動エリアのひとつを港区界隈(かいわい)と想定し、地下鉄表参道駅をジャックする広告展開を実施しました。壁面や柱の広告スペース、70面以上を買い切り、表紙のビジュアルをはじめタイアップしたクライアントの広告ポスターなどで、駅をにぎやかに彩りました。また、新聞に親和性が高い世代ということから、手元に確実に届く新聞広告にも力を入れました。
――創刊当日、朝日新聞本紙への広告に加え、エリア広告特集も配布しました。
ターゲットとなる女性の多くが朝日新聞を購読しているという調査結果を踏まえて、全15段カラー広告を掲載しました。さらに、タブロイド判24ページのエリア広告特集も制作し、東京・大阪・名古屋の都市圏を中心に約50万部を配布しました。創刊号の誌面抜粋にとどまらず、GOLD世代がどんな時代を生きてきたのかが分かるよう独自に編集し、ターゲットとなる方々に「私たちのための雑誌が出る」と気付いてもらえるものを目指しました。
また、朝日新聞デジタルにも広告を掲載しました。特設ページを経由してGOLD公式ホームページへのアクセスも多数あり、朝日新聞と出版広告の親和性をあらためて実感しています。
『GOLD』でしか読めない情報で応える
――誌面づくりで工夫していることは。
新しい情報に敏感な読者に向けて、紙面づくりは「どこにもないものが見たい」というキャッチフレーズをもとに展開しています。商品や旅行の紹介だけにとどまらず、例えば創刊号の池貝知子さんの特集のような、仕事に対する考え方やこれまで歩んできた道のりなどをまとめた記事を読むことで、新しい気付きや感情を呼び起こさせるようなコンテンツも盛り込んでいます。どこにもないものを提示することは決して簡単なことではありませんが、我々も読者の意欲に負けずに企画していかなければと知恵を絞っています。
――今後の展望について。
GOLD世代の方にお会いすると、それぞれに経験を積まれていながら、見た目は女性らしく本当に美しいんです。そして、これからも頑張りたいと思っていらっしゃる。そんな方々に新しい気付きを与えられるよう、より一層『GOLD』らしい誌面づくりを目指していきます。読者アンケートからは、サークル活動など横のつながりが好きな方が多いと分かりました。今後は通信販売やイベントの企画など、『家庭画報サロン』のようなGOLD会員のためのコミュニティーも作っていく予定です。
世界文化社 『GOLD』編集長
1990年世界文化社に入社。『家庭画報』編集部に配属。『家庭画報』副編集長を務めた後、『家庭画報 delicious』『MISS(現MISS plus)』『MISS Wedding』『きもの Salon』の各誌の編集長を経て、2013年4月から現職。