テレビ面番組表をはさんだ夕刊広告で、「住宅用太陽光発電システム」を訴求

 東芝は昨年12月8日、「住宅用太陽光発電システム」の広告を、同じ日の朝刊(テレビ面表札)と夕刊(テレビ面全3段+全7段)で展開した。広告部国内広告担当参事の波多野吾紅氏に話を聞いた。

暮らし周りの決定権を握る、主婦層に響いた

――12月8日付の広告の意図を聞かせてください。

波多野吾紅氏 波多野吾紅氏

 住宅用の太陽光発電システムに対する認知はかなり広がっています。とはいえ、実は使っているパネルや仕組みはメーカーによって違いがあり、発電効率などに差があることはあまり知られていません。そこで、そのことを知っていただき、当社商品を選んでほしいと考え、一般紙の朝日新聞に出稿し、幅広い層に訴求することにしました。と夕刊テレビ面「サンドイッチ広告」を組み合わせ、同日に出稿することで、より注目度を高めました。

――反響はいかがでしたか。

 夕刊は主婦層が多く読んでいると認識していましたが、まさにその層からの反響や問い合わせがたくさんありました。太陽光発電システムなどエコな商品を取り入れた生活を考える主婦の方に、きちんと響いたと手応えを感じています。広告に対する問い合わせにとどまらず、商談までつながったケースもありました。私たちが伝えたかった「メーカーによる発電効率の違いなどを理解した上で選んでほしい」というメッセージに興味を持ってくれた結果だと考えています。各社の性能を調べ、比較して……ということまでされない商品ですが、今回の当社の広告がその「気づき」になったのではないかと思います。

2010年12月8日付 夕刊 2010年12月8日付 夕刊

 今回は住宅用太陽光発電ということで、「家」や「暮らし」を感じさせるものにしました。鮮やかな屋根の青、庭を彩るグリーン、そこには家族の姿・・・・・・。よく見るとのんびりしている犬や猫の姿があるなど、とてもかわいらしく仕上がっています。テレビ番組表をサンドイッチしたような斬新な紙面の使い方も非常に目を引きます。親近感のわくビジュアルで、実用的なメリットをうまく伝えたクリエーティブになったと思います。

――夕刊の広告について感じたことは?

 今回の広告展開は、朝刊と夕刊の複数紙面を同日に活用したことによる相乗効果を強く感じています。その中でも、暮らし周りの決定権を握っている主婦層に訴求できたという点で、夕刊の効果を強く感じました。同じテレビ面でも、より広告スペースの多い夕刊だからこそ、おもしろい使い方ができたように思います。ユニークなスペース使いで、夕刊出稿の新たな可能性を感じることができました。

斬新な紙面スペースの活用などにも意欲、先進性あるブランドイメージを訴求したい

――様々なメディアで広告展開していますが、その中で新聞に期待することは。

 「この情報がほしい」と目的がはっきりしているときは、ウェブが便利だと思います。一方、新聞は、たとえば読んでいる記事の横に思いもよらない記事や広告があったりと、情報との「出会い」があったりします。それは、新聞にしかない力であり、価値だと思います。

 そして、やはり何と言っても、新聞は「信頼性のメディア」だと思います。信頼があるからこそ、企業として何か強いメッセージを伝えたいときや、ブランドイメージを作っていきたいときに力を発揮します。ニュースの速報という意味合いの強い朝刊、読み物的な夕刊、それぞれに価値や魅力があります。ほかのメディアの動きなどに日和ることなく、新聞ならではの力、価値を提供し続けてほしいと思います。

――今後の目標を聞かせてください。

 これまで太陽光発電システムは、おもに訪問販売によって普及してきました。多くの場合、「その商品を導入するか、しないか」という選択肢しかなかったように思います。しかし今後は、消費者が自らメーカーを比較検討するようになる時代だ、と考えます。この分野において当社は後発ですが、だからこそ 、認知はもちろん、きちんとした理解も促していきます。

 今回の新聞広告では、イメージだけでなく実質的なメリット伝えることができたと、手応えを感じています。今後も新しい試みに挑み、「先進性」「独自性」といったブランドイメージ向上につなげていきます。