昨年に引き続き、今年も「朝日地球環境フォーラム」に特別協賛をしたJX日鉱日石エネルギー。その目的やフォーラムへの思い、環境コミュニケーションについての考えなどを、同社 広報部 宣伝グループ担当マネージャー 東城安紀栄氏に聞いた。
多様な立場から継続的に議論を重ねることが重要
――「朝日地球環境フォーラム」への特別協賛の経緯は。
新聞やテレビなどのメディア、さまざまな業種の企業、行政、識者や専門家が一堂に集まり、環境問題に関するさまざまな課題について多様な立場から多角的に議論する「朝日地球環境フォーラム」は、大変意義深いものだと思います。昨年も協賛させていただき、趣旨や内容がよくわかっていたこともあり、今回はごく自然なかたちで協賛を決定させていただきました。
――JX日鉱日石エネルギーの展示ブースも来場者から好評でした。
今回の展示は、家庭やガソリンススタンドなどを水素パイプラインでつなぎ、太陽光パネルを屋根に敷き詰めた創エネ住宅が普及した、低炭素社会の様子を模型でわかりやすく紹介したものです。未来のエネルギーのあり方を示したこの展示は、大変好評でした。また「エコハウス・エコシティー」をテーマにした分科会では、当社顧問の松村幾敏が、エネファームやダブル発電などの効率的なエネルギー利用について講演を行いました。このフォーラムは、当社が目指す低炭素社会のイメージを、より多くの人に知っていただくまたとない機会となりました。
――このようなフォーラムにおける新聞の役割や意義をどのように考えていますか。
新聞は、日頃からさまざまな企業、行政、NPO、学者、消費者と接点を持ち、社会的に信頼性のあるメディアであり、このようなフォーラムのコーディネーターとしては最適であると思います。内容を採録記事として掲載することで、会場に来られなかった多くの方に伝えることができるのも新聞の大きな特長です。
記事との親和性が高く注目されたマルチ広告
――生物多様性条約第10回締約国会議(国連地球生きもの会議)初日に合わせて掲載されたマルチ広告も注目されました。
当社では、一般の方に環境のことをもっと身近に感じていただきたいとの思いで、2年前から環境を題材にしたクイズ形式のキャンペーンを展開してきました。今回は、生きもの会議初日に新聞で複数のページにわたって問題を掲載するという、今までにない試みでした。
1面の天声人語の横に、当社のキャラクターであるエネゴリくんが、「トモダチを、探してください。」と訴える小型広告を掲載。ページをめくっていくと、「オランウー○ン」や「○キノワグマ」など、絶滅の恐れがある動物のイラストが載った9つの小型広告が出てくるというものです。さらにテレビ面に、クイズの応募方法を載せた広告を掲載。新聞全体のなかにちりばめられた動物イラストを探し、○の中の文字を並べると浮かび上がるキーワードをウェブで回答すると、抽選で「エネゴリくんトートバッグ」がもらえるという読者参加型企画でした。
この日は、生物多様性をテーマにした特集紙面もあり、絶滅危惧(きぐ)種の名前を当てるクイズという広告内容との親和性が高く、大変注目されたようです。
新聞紙面全体のなかから動物を探すのがけっこう手間であるにもかかわらず、従来よりも多い応募が集まり、社内外から大きな反響をいただいています。朝日新聞の読者は環境問題に関心のある方が多いといったことも影響したようです。
2010年10月11日付 朝刊
――今後の環境コミュニケーションについて聞かせてください。
当社では、子供向け環境・エネルギー教室の開催、社員ボランティアによる自然保護活動、ENEOSカードによる国土緑化推進機構への寄付、水素エネルギー研究を助成する基金の設立など、CSR活動としても環境問題に力を入れています。これらは必ずしも積極的にアピールすべきものでもありませんが、ホームページやCSRリポートなどで、より詳しい情報を知りたい方のためにきちんと情報発信していくべきだと考えています。
また弊社は現在、「ENEOS」ブランドのもと石油、ガス、電気といったエネルギー全般を扱い、ホームエネルギー事業にも力を入れています。しかしかつての石油精製販売会社としてのイメージを強くお持ちの方も少なくありません。そこで2年前から、女性やファミリー層にもっとENEOSブランドを身近に感じていただきたいということで、「エネゴリくん」をキャラクターとして使い始めました。最近では、女性や子供たちから愛されるキャラクターとなり、ブランドの認知も広がってきたと実感しています。今後も、より多くの人が環境やエネルギーの問題を身近に感じていただけるようなコミュニケーションを心がけていきたいと思います。