朝日新聞社では上質な文化催事からスポーツ大会・競技会まで、さまざまな事業・イベントを主催し、運営しています。ここでは、朝日新聞社主催の事業を活用して、企業・団体が図ったコミュニケーション展開の事例の一部をご紹介します。
時代を読んだ、質の高い文化催事を目指す
来場者とのさまざまな接点作りを開発
企画事業本部 文化事業部では展覧会をはじめ、音楽・舞台公演、映画祭など幅広いジャンルで文化的価値の高い催事を企画しています。最近では、 2009年春~秋に東京・福岡で開催した「国宝 阿修羅展」が合わせて約166万人の来場者を集め、空前の“阿修羅ブーム”を起こしました。時代が求めているものを常に意識しながら、質の高い文化催事を手がけることを目指しています。
「大哺乳類展 陸のなかまたち」 「(同)海のなかまたち」
2010年は「いきもの地球会議(COP10)」が愛知県で開催されることもあり、報道を通じて「生物多様性」という言葉が浸透してきました。そこで国際生物多様性年を記念して、国立科学博物館(東京・上野公園)で「大哺乳類展」(3~6月「陸のなかまたち」、7~9月「海のなかまたち」)を企画しました。
■企業の環境活動を紹介
国立の美術館・博物館では、特定の企業のPRは原則として認められません。しかし「生物多様性の保全には企業による参画が必要不可欠」(COP8より)と言われるように、企業の環境への取り組みを紹介することは、この展覧会にとっても意義があると考えました。そこで会場内に「地球のためにできること」というコーナーを設け、協賛各社の取り組みを「展示の一環」として紹介しました。
また環境小冊子を制作、企業の環境活動を紹介するページを設けて、発行した31万部は会期中にすべて、来場者にお持ち帰りいただきました。
陸のなかまたち(左)と海のなかまたち(右)
陸のなかまたち(左)と海のなかまたち(右)
■車両展示
特別協賛のフォルクスワーゲン グループ ジャパンは、環境負荷の少ない車両を館内に展示しました。「生物多様性を保全する企業活動の実践例として車両を展示」という企画構成で、特別に館から展示の許可を得ました。
■記念品を配布
フォルクスワーゲン グループ ジャパンから提供いただいた動物のジグソーパズルは、会場で9万個を配布し来場者に喜ばれました。
おかげさまで、陸展は約34万人、海展は約40万人、合計すると約74万人の来場者数を記録しました。環境活動パネルを熱心に読む来場者も多く、この展覧会が企業と消費者を結ぶ「出会いの場」になったと、協賛各社からもご満足いただけたようです。
来年以降も、「大英博物館 古代ギリシャ展」「プーシキン美術館展」「恐竜博2011」などの大型企画をはじめ、様々な文化催事を計画しています。今後とも、朝日新聞社の文化事業にご期待をいただければ幸いです。
(企画事業本部 文化事業部 田村 慎)
スポーツ催事を、企業の認知拡大のためだけでなく
CSRや社会貢献の取り組みとしても活用
朝日新聞社の企画事業本部が携わるスポーツ催事は、年間約130件を数えます。国際マラソンなどに代表される「エリート(見る)スポーツ」から、学生を中心とする「競技(育てる)スポーツ」、ウオーキング大会やママさんバレーといった「市民・生涯(する)スポーツ」まで多種多様。その多くに企業協賛をいただいています。
これまで、スポーツ催事における協賛メリットとは、大会の冠や会場での企業看板の掲出などが定番でした。しかしここ数年、これらに加えて、スポーツ催事を自社のCSRや社会貢献の取り組みとして活用する動きが広がっています。一般の社員の方が現場に赴いて清掃活動や競技運営に携わるなど、人的支援をいただく例も増えています。同じ目的を持って共に汗を流す経験が、運営の現場の意識をも変えているようで、主催者をはじめ競技や行政の団体が集まる実行委員会などの席で協賛企業を「大会を一緒に育てていただいているパートナー」ととらえた発言をよく耳にするようにもなりました。協賛をいただく側の団体にも、これまで以上に協賛企業の要望や営業効果を高めるための施策に前向きに取り組む姿勢が表れてきたように感じています。
このような動きが見られる催事の具体例の一部を以下に紹介します。
■エリートスポーツの現場から
昨年11月に始まった横浜国際女子マラソン大会は、特別協賛をいただく武田薬品工業の提案を受けて国連の人道支援機関「WFP(世界食糧計画)」の募金活動を展開しました。また、同社社員の方々には大会の発着点となる横浜・山下公園やコース周辺の清掃作業にあたっていただきました。
■心通わす応援団
毎年、晩秋の伊勢路を舞台に開催される秩父宮賜杯全日本大学駅伝対校選手権大会は、昨年からJAバンクに特別協賛をいただいています。今年は、全国8地区の予選会にJAバンク役職員の方々が応援に駆けつけました。本大会への出場権をかけて懸命に競い合う選手に大きな声援を送ったり、地元産米を使ったおむすびを手渡ししたりと、様々な支援を実施。そんな温かい思いが選手たちにも伝わったようで大会終了後、自発的にJAバンク応援団の前に整列、一礼して感謝を述べる場面も。JAバンクの皆さんには、本大会でも沿道で応援いただく予定で、「おらが町(地域)の代表チーム」への応援は11月7日の大会本番まで続きます。
秩父宮賜杯全日本大学駅伝対校選手権大会で、JAバンクがおむすびを配布するなど大会を支援
■啓蒙活動の場としての活用
ウオーキング大会は様々な業種と親和性が極めて高いコンテンツ。健康、エコ、スポーツ用品、散歩のお供のペットなどなど、多様なテーマを違和感なく大会の中で扱うことができることから、朝日新聞社の主催する大会でもシニア世代をターゲットにしたキャンペーンが展開されています。整形外科学会などが取り組む運動「ロコモ チャレンジ!」もその一つ。関節や筋肉など運動器を大切にして健康長寿を目指すもので、「ロコモ チャレンジ!」を冠にしたスタンプラリーを他の主催団体から理解と協力を得て実施。紙上においても関連の編集特集を展開するなど、運動の幅広い周知に取り組んでいます。
(企画事業本部 スポーツ事業部 次長 谷口俊二)