さまざまな産業や、社会のインフラを支える日本ガイシ。電線を送電鉄塔・電柱などと絶縁する「碍子(がいし)」を祖業とする同社だが、そこから培ったセラミック技術を応用した製品が、環境負荷低減の大きな役割を担っている。そうした取り組みについて生活者の理解を深めるべく、2010年1月から3月にかけて、朝日新聞朝刊1面で小型広告をシリーズ展開した。広報室マネージャーの佐藤央氏に、その狙いを聞いた。
――まず、日本ガイシの事業内容について聞かせてください。
日本ガイシは、「より良い社会環境に資する商品を提供し、新しい価値を創造する」ことを企業理念にしています。「エネルギー」「エコロジー」「エレクロトニクス」という「トリプルE」の領域で事業を展開しています。コア技術はセラミックスで、売り上げ全体の半分近くを占めているのが環境貢献製品です。主力は、自動車の排ガス中に含まれる有害成分を浄化するセラミック製の触媒担体と、ディーゼルエンジンから排出される黒煙微粒子を捕集するセラミックフィルターです。
また、電力を貯蔵できるNAS電池の拡販にも力を注いでいます。NAS電池の用途はさまざまありますが、風力発電や太陽光発電への併設もそのひとつ。自然エネルギーの導入は世界共通の急務であるものの、発電量が不安定という弱点もあります。そこでNAS電池と組み合わせることで、発電した電力をムダにせず充電し、安定的に供給することができます。
――日本ガイシのセラミック技術が、さまざまな場面で社会を支え、環境面で貢献していることを伝える小型広告シリーズを展開しました。その狙いとは。
当社では、今のように環境問題が注目される以前から、生産工程で排出される汚水を浄化してから川に流したり、省エネルギー生産技術を開発したりするなど、独自の環境経営に取り組んできました。そこに根付いているのは、「企業にとって環境への配慮は当然の責務」という考え方です。
しかし、当社についての理解は、特に若い世代では十分なものとは言えません。意外にも私たちの暮らしの身近なところで使われている当社の製品について、もっと分かりやすく情報発信することが必要だと考えています。今回の広告では、セラミック技術と製品を通じ、環境や社会に貢献する私たちの姿勢を伝え、「認知」にとどまらない「理解」へと深めていくことが狙いでした。天声人語の左右という広告スペースの注目度の高さを利用し、シリーズ展開して読者の意識に働きかけることを期待しました。
――新聞広告の特性をどうとらえていますか。
テレビCMは、視聴者に感覚的にイメージを伝えるのには効果的ですが、能動的な意思をもって読まれる新聞は、より具体的な情報を発信できる特長があります。販売部数が多く、幅広い読者層を獲得している全国紙の朝日新聞での広告展開は、当社の事業への理解を広く深めるのに効果的だと判断しました。新聞広告は、伝えたいメッセージと、読者の興味が合致したとき、受け手の心にしっかりと企業イメージが形成されるものだと考えます。
――今後の展望を聞かせてください。
メディアを通じて何よりも届けたいメッセージは、当社の製品が社会や暮らしを支えているということ。そして、セラミック技術と製品そのものが環境に貢献していることです。昨年からは、インターネット上でも広告展開を始めました。今後も新たな切り口でのシリーズ広告など、共感を得られる手法で理解の向上を図っていきます。
◇媒体資料「朝日新聞にみる環境広告」はこちらから:
http://adv.asahi.com/modules/media_kit/index.php/kankyo_tokyo.html