メガネをかけた「ハローキティ」をキャンペーンガールに

 2009年からサンリオの人気キャラクター「ハローキティ」を起用し、商品企画やコミュニケーションに生かしている三城。今年は創業80周年の節目にあたり、「ハローキティ」と「80」の文字をあしらった社員バッジを作るなど、キャラクターの魅力を存分に活用し、顧客の評判を呼んでいる。営業企画の幸村和子氏に聞いた。

人と人、人とモノを結ぶキャラクター

メガネをかけた「ハローキティ」 メガネをかけた「ハローキティ」

──「ハローキティ」を起用した経緯とねらいは。

 そもそもは、当社の役員とサンリオの辻信太郎社長がある会合で意気投合したことが発端なのですが、商品やサービスを通じて、人と人、人とモノを結ぶ、という価値観を共有できるキャラクターであったことも、起用の大きな理由です。トップ同士のゴーサインだったために、ライセンス契約はとてもスピーディーに進み、世界的な人気を誇る「ハローキティ」とのコラボレーションが実現しました。

──「ハローキティ」の魅力とは。また、「ハローキティ」を起用するにあたり、社内での反応は?

 当社は2010年1月、創業の地である姫路に「ハローキティ」をイメージしたカフェをオープンしました。カフェでは、キティちゃんの顔を描いた抹茶ラテなどを提供し、一角に当社商品を陳列。商品に興味を示してくださった方には隣接する店舗で社員が詳細を説明する形で営業しています。社員に積極的に話しかけてくれる若い女性のお客様も多く、ちょうど成人式の時期にオープンしたこともあり、「明日、晴れ着を着て彼氏と一緒に来ます」と言って、本当に再訪してくれた方もいました。カフェの事例は、「ハローキティ」の魅力を象徴していると思います。当初、「メガネ店がなぜハローキティ?」という社内の声もありましたが、今や、幅広い世代とつながる強力なコミュニケーションツールであることを、全社員が認識・共有しています。

──顧客層と「ハローキティ」のターゲットとの関係をどのようにとらえていますか?

 創業以来、全年齢層に顧客を有してきましたが、ここ数年は低価格帯の店が増え、20代後半から30代の囲い込みが難しくなっている現状がありました。こうした層が「ハローキティ」を目当てにお子さん連れで店舗に足を運んでくださることを期待しています。若い世代に訴求するため、デジタルメディアの活用も積極的に始めています。ミキオリジナルの「ハローキティの携帯待ち受け」を提供し、ダウンロードされた方からアンケート結果を返信してもらうシステムを整えるなど、新しいニーズの把握に努めています。

──具体的なキャンペーン事例について聞かせてください。

 昨年12月に「ハローキティコラボサングラス」を発売。大人向けのモデルを展開したところ、品薄になるほどよく売れ、今春に新しいバージョンを展開することになりました。キティちゃん好きのタレントが直接店に買いにいらしたという話も聞いています。

 先述した姫路の「Café de Miki with Hello Kitty(カフェ ド ミキ ウィズ ハローキティ)」では、当社のフルオーダーシステム「シートメタル」で作ったメガネをつけたキティちゃんを店頭に飾っています。“レア感”がファン心理を刺激するようで、「かわいい!」とぬいぐるみを抱きかかえるお客様も見られます。

 さらに今春の「2010年春のわくわくフェア」では、携帯またはパソコンで割引クーポンが取得できるサービスのほか、幸せを象徴する四つ葉のクローバーをあしらった「ハローキティの携帯待ち受け」、オリジナルピンバッジ、オリジナルぬいぐるみのプレゼントキャンペーンを実施。また、当社がスポンサーを務めるサンリオピューロランドの割引券つきシールを10万人にプレゼントするキャンペーンも展開しました。

姫路の「Café de Miki with Hello Kitty(カフェ ド ミキ ウィズ ハローキティ)」

Café de Miki with Hello Kitty(カフェ ド ミキ ウィズ ハローキティ)
Café de Miki with Hello Kitty(カフェ ド ミキ ウィズ ハローキティ)


関連グッズは相互の得意分野に応じて生産

──ライセンサーのサンリオとは、どのようにコミュニケーションを取られていますか?

 キャラクターの活用は当社初の試みでしたが、複雑な契約の手続きやクリエーティブの相談にも丁寧にご対応いただいています。また、関連グッズを製作する際、両者の得意分野を生かして生産ラインを相互活用するなど、良好な関係を築いています。

──新聞広告を活用したねらい、新聞広告に期待したことは?

2010年4月3日付朝刊 2010年4月3日付朝刊

 新聞は、デジタルメディアになじみの薄い方、特に年齢層の高い方に訴求しやすいメディアだととらえています。一方で、QRコードの掲載を通じてデジタルメディアに誘引することもできます。4月3日に出稿した全15段広告では、「春のわくわくフェア」、ゴルフ専用メガネ、高機能レンズなどの情報を盛り込みました。朝日新聞の広告モニター調査によると、くまなく情報に目を通している読者が多いことが分かりました。読者の反響は、次のコミュニケーションにとても参考になります。

──新聞広告のほかによく活用しているメディア、注目しているメディアは?

 これまでは主に折り込みチラシでしたが、今後はウェブも強化していくつもりです。検索エンジンで「メガネ」と入れて「メガネの三城」「パリミキ」という結果が上位に上ることも重要で、「ハローキティ」を起用後、そうした兆しも見え始めています。また、ウェブ上のクチコミも重視しており、原点に立ち返り、よりきめ細やかなサービスを追求していこうと各店で気を引き締めています。

──今後の抱負を聞かせてください。

 当社は今、メガネ事業にとどまらず、飲食業、健康食品業など、異業種にもビジネスを拡大しています。新しい挑戦を続ける中で、サンリオ社とは長くおつきあいを続けていきたいと願っていますし、「ハローキティ」を活用した効果的なキャンペーンを今後も展開していくつもりです。