「GLOBE」の広告紙面を「ブランドコミュニケーションの場」としてとらえ、企業理念などに基づく広告出稿を継続しているのが大和ハウス工業だ。同社の上席執行役員で、総合宣伝部長の山本誠氏に話を聞いた。
――「GLOBE」紙面をご覧になっての感想、ご意見は。
とても画期的な紙面だと感じています。主観にとらわれることなく、いま世界で起こっている事実そのものを的確に伝えるメディアであるという印象を持つと同時に、その報道姿勢に共感しています。
本紙から取り外して読めるそのスタイル、そして1カ月に2回という発行サイクルも良いですね。情報負荷を感じることなく、たとえば通勤時の電車内など、好きな時間、好きな場所で、未知の世界の知識を深められる、価値の高いメディアだと思います。
また目下のグローバル社会において、英語は堪能であるけれど、外国人を相手に自国の文化を語れない日本人もいると耳にします。そういった、社会人としての教養を身につけたいという層にも適しているのではないでしょうか。
――「GLOBE」に広告を出稿した経緯は。
当時の朝日新聞大阪本社広告局長から、プレゼンテーションいただいたことがきっかけです。このようなクオリティーの高いメディアに、広告出稿という形で「参画」できることは、社会的な意義も高いと思っています。
宣伝部という部署は、数ある中から適したメディアを「選んだ」うえで、広告主として協賛するものだと考えられがちですが、私の考えはそうではありません。逆に、広告主はメディアから「選ばれる」立場にあると思うのです。お互いの価値を理解・共有しながら、日頃からきちんとお付き合いをしたうえで「大和ハウス工業に、この紙面を提案しよう」とメディアから選ばれるように努力をしなければいけない、これが宣伝部の大きな役割の一つだと考えます。そういった意味でも、今回、「GLOBE」を朝日新聞社から提案いただいたことは、とてもありがたかったです。
――広告メディアとしての「GLOBE」を、どうご覧になりますか。
広告には「販売促進」と「ブランドコミュニケーション」という2つの役割がありますが、「GLOBE」はブランドコミュニケーションの場としてふさわしいメディアであるととらえています。
私たちは消費財を売る会社ではありません。人生の中でも大きな買い物=住まいを提供する会社であるからこそ、「大和ハウス工業」というブランドの理念や、その理念に基づいた事業や商品の存在価値を、社会に対してコミュニケーションする必要があります。その際には、「GLOBE」のようなメディアとしてのメジャー感や信頼感は欠かせない要素です。
また、ブランドコミュニケーションは1日で終わるものではなく、何十年という長いスパンで「投資」するものです。「GLOBE」に広告出稿を継続しているのは、当社のメッセージを、長い時間をかけて伝える場として期待をしているからです。そして当社のエンドレスハート(企業シンボルロゴ)が、「GLOBE」に興味を持っていただける人たちの目に、定期的に入ることも大きい。それは同時に「質の高い紙面に対し、きちんと協賛をする会社である」と社会的に認知していただくことにも結びつきます。
――クリエーティブ面や広告のトーンで気を配っていることは。
色使い一つにしても、気を配っていますね。それは「GLOBE」をはじめ、優れたメディアへ出稿する際には「紙面を汚さない」広告を掲載することが、広告主の大きな役割であると思っているからです。すばらしい編集記事も、センスの感じられない一つの広告で台無しになるかもしれませんから。
また当社の場合、「GLOBE」に掲載する広告は、他のメディアで掲載したものを転用するということはありません。「GLOBE」の紙面によりマッチさせるためにも、毎回制作しています。当社の歴史そのものと言える「プレハブ住宅の歴史」や、当社の経営ビジョンに基づくものなど、これまで「GLOBE」の中で伝えてきたメッセージも、販売促進的な色合いのものではなく、会社の理念がしっかり伝わるかどうか、を基準に吟味しています。そして部内のメンバーには、他部署の社員がどんな考えを持っているのか、聞きかじりや資料ではなく、自ら把握したうえで、自分の言葉にして紙面を構成するように指導しています。苦労も多いですが、それが「GLOBE」の紙面を汚さない広告作りにつながると信じています。
――今後の展望を聞かせてください。
販売促進は目標に対する「経費」として、そしてブランドコミュニケーションは何十年先への「投資」であるという役割をはっきりさせ、両方のメッセージをぶれることなく発信し続けることです。その際も「メディアから選ばれる存在に」「広告でメディアを汚さない」という考えの下、広告主として各メディアとお互いの価値を理解・共有しながら発展していければと、思っています。