高機能のマスクを張り付けたエリア広告を配布

アース製薬

　この夏、新型インフルエンザが大流行の兆しをみせ、本格的な冬を前に季節性インフルエンザの流行も危惧（きぐ）される。また、春になれば花粉症のシーズンを迎えるなど、マスクはもはや年中欠かせない存在だ。アース製薬は９月、耳にかけるバンドがなく、顔に直接張りつけて異物の侵入を防ぐシールドタイプのマスク「ウィルガード」を発売。同月29日には、サンプルを張りつけた朝日新聞エリア広告を配布した。同社研究開発本部企画開発部学術課課長の角田泰男氏に話を聞いた。

医療従事者が多い
高所得者居住地域に絞って届ける

アース製薬　角田泰男氏

――エリア広告出稿までの経緯を聞かせてください。

　「ウィルガード」は、形状も使い方もこれまでのマスクとは大きく違います。実際に体感してもらわなければこの商品の良さはわからない。そのためにはサンプリングが必要ですが、どこでどのように配るのが効果的か……と模索していました。サンプリングの方法としては、記者発表での配布、雑誌への挟み込み、店頭の配布などがありますが、「的確にターゲット層に届けたい」という思いがありました。この商品の主なターゲットは、医療従事者や妊婦。妊婦については、母親学級でのサンプリングや産婦人科で配布するフリーペーパーに広告を掲載するなどしました。

　医療従事者への対策を考えていたとき、朝日新聞から配布先の条件を絞り込んで配ることができるエリア広告があって、この広告にサンプルもつけてみてはどうか、という提案がありました。医療従事者は高額所得者が多いので、年収が高額な人が多く住む地域を選び、そこに集中的にエリア広告を配布できる、と。この広告なら、ターゲットである医療従事者にも届き、かつ、一般消費者にも広く訴求することができると判断しました。

　さらに、このエリア広告を配布する日の朝日新聞本紙にも広告があれば大きな反響を呼ぶと考え、インフルエンザの広告特集で「ウィルガード」の広告を出稿しました。エリア広告だけならサンプルを配っただけの反響で終わったかもしれませんが、さらに本紙で広告を見ることで、広告や商品自体が強烈に印象に残るのでは、と期待しました。

――反響はいかがでしたか。

　広告掲載後、医療関係の学会でサンプリングをしたところ、何人かの医師から「新聞広告で見たよ」と声をかけてもらいました。まさに狙った層に狙ったとおりに届いた、という手ごたえを感じています。

　反響は医療従事者だけではありません。普段、当社のお客さま相談室には一日平均10本程度の電話がかかるのですが、掲載当日は300本を超えました。妊婦向けフリーペーパーや電車内ステッカーなども手がけましたが、やはり新聞の影響力は全然違う、と圧倒されました。「こんな広告を見た」と誰かに話したくなる人が多かったのか、ブログなどでも話題になりました。

――サンプルを配布するエリア広告は、朝日新聞でも初の試みでした。

　初めてだと、私は実は知らなかったのです。朝日新聞がやろうとしていた企画と、ターゲット層を絞った広告展開とサンプリングをしたいという当社のニーズがうまく一致して、初の試みが成功に結びついたのではないか、ととらえています。

日用雑貨品などの商材は
エリア広告が販促メディアになる

――新聞広告の販促効果を、どのように分析されますか。

　商材によるのではないでしょうか。当社が扱うような日用雑貨品は、新聞広告を見て「こんなものがあるんだ」と興味を持てば、店頭で目にしたとき購買につながる可能性が高い。ほかのメディアと比べても、新聞は信頼性が高いことも、その理由になると思います。また、「ウィルガード」のように使ってみることで特性を体感できる商品は、サンプリングが有効です。通常の新聞広告では難しいことですが、エリア広告ならターゲットに的を絞ったサンプリングが可能なことが今回わかりました。確実に目に止まる、という点では、店頭のPOPに匹敵する効果があるのでは。雑誌にもサンプルを付けることはできますが、医療専門誌は病院や医局単位で１、２冊を定期購読し、みんなで回し読みしていることが多いと思います。すると、サンプルを手にできるのは、わずか数人。でも、新聞広告ならば１軒に１部配布されるので、院内でも手にする人が多い。これは、新聞広告ならではだと思います。

――今後について聞かせてください。

　医療関係者には引き続き訴求を続けていく考えです。このマスクを必要とする層、たとえば妊婦、糖尿病や人工透析をしている患者といった人たちに的確に情報を届け、使っていただけるように取り組んでいくつもりです。

2009年9/29　エリア広告