キリンビールは、1月28日に「のどごし〈生〉」、4月7日に「一番搾り(しぼり)」のフローティング広告を、朝日新聞スポーツ面に出稿した。出稿の経緯や反響、変形広告への評価などについて、キリンビール営業本部マーケティング部メディア室の杉山浩達氏に聞いた。
ニュースに広告を「近づける」ことで
読者に自然と、効果的に受け入れられる
――フローティング広告を使った理由、期待した効果などについて聞かせてください。
複数のメディアが存在する中、新聞はその特性から「生活者がニュースを探しにくる媒体」ととらえており、広告もニュースに「近づける」ことで効果がアップすると考えています。具体的には三つの方法があると思います。一つ目は記事のそばに広告を置いて「物理的に」近づけること。二つ目は、記事と広告の内容を「テーマ的に」近づけること。三つ目は記事のように見える広告で「体裁として」近づけることです。フローティング広告は、まさに「物理的に」記事の中に広告を置くことができます。4月に掲載したイチローさんが登場する「一番搾り」の広告は、メジャーリーグ開幕の日に合わせたことで「テーマ的に」も近づけることができました。
――反響は。
初めてフローティング広告の体裁で出稿した、1月の「のどごし〈生〉」の広告は、全15段と同じ程度の効果があることが事後調査で分かりました。次の「一番搾り」の広告は、アスパラクラブ(朝日新聞の無料会員サービス)のアンケートで、広告の位置について「おもしろい(75.5%)」「通常の広告よりも目に留まる(72.1%)」と高い評価を得ました。さらに「飲みたくなった(50.5%)」「購入しようと思った(41.7%)」という意見も寄せられ、広告効果を実感しました。
――フローティング広告をはじめ、変形広告に期待することなどを聞かせてください。
新聞の中で広告だけ目立たせる手法もありますが、記事とテーマがリンクする広告が同じ紙面にあったほうが、読者にとってはおもしろいのではないでしょうか。その意味で、フローティング広告に可能性を感じています。「一番搾り」の広告はイチローさんを起用していることもあってスポーツ面と非常に親和性が高いので、記事や特集とタイムリーに連動できればと思います。その日に何が起きるか、イチローさんがいつ活躍するかは事前には分かりませんが、新聞社や広告会社の皆さんと協力し、不確定要素を想定しつつも掲載面や掲載日を探って、タイミングよく掲載できればと考えています。