「発毛ブランド」としておなじみの「リアップ」から、新商品の「リアップX5」が6月1日、発売された。折からの改正薬事法のスタートと重なったが、話題性、売り上げとも好調だ。大正製薬営業推進本部ブランドマネージャー部のリアップブランドマネージャー、山口義人氏に話を聞いた。
有効成分が1%から5%に増量
新薬事法も「追い風」に
――「リアップ」ブランドの歴史についてお聞かせください。
最初の発売は1999年です。国内では「発毛」という効果をうたった初めての商品で、それまでの育毛剤市場が143億円だったものが、「リアップ」発売によって、517億円を超える市場に成長しました。その後、女性向けの「リアップレディ」や、新たな成分を配合した「リアッププラス」などをシリーズとして展開してきました。そして今年6月、「リアップX5」を発売。99年からちょうど10周年という節目の年の新商品となりました。
――「リアップX5」の商品概要と、開発経緯をお聞かせください。
これまでの商品との一番の違いは、発毛作用が期待できる有効成分「ミノキシジル」が、1%から5%に増えたことです。世界的には、アメリカやイギリスなど20カ国以上で5%配合の商品が承認されており、当社でも99年の発売以来、さらに濃度が高い商品の開発を目指してきました。有効成分が5倍になったことで、より効果が上がったことを実感していただけているのでは、ととらえています。
また、これまでは、結果を出すために1日2回使用で約6カ月間使い続けることが前提だったのですが、「X5」では4カ月である程度の効果が上がることが明らかになりました。6カ月間続けられずあきらめてしまった方には、再挑戦していただくチャンスだと思います。
容器もリニューアルしました。そもそも、ミノキシジルは高血圧の治療に使われる経口の血圧降下剤で、その副作用で多毛症が発現したことをヒントに発毛剤として研究、開発してきました。そのため、誤飲を避けられる容器が必要でした。「リアップ」でも1回の使用量(1ミリリットル)だけが出る容器を作りましたが、適量を出すために8つのアクションが必要で、少しややこしかったのです。今回「X5」では、それを3つのアクションでできるよう改善しました。決して安くはない価格に見合うように、見た目も重厚感や高級感を重視しました。洗面所に置く人が多いと思いますが、一緒に並んでいる化粧品などと違和感がなく、それでいて目立ち過ぎないデザインを目指しました。
――6月1日に薬事法が改正されました。影響はありましたか。
「X5」は、第1類医薬品に分類されたため、薬剤師の説明が必須になりました。このため、薬剤師がいないと買えなかったり、扱えないお店が増えたり、といったことはあります。第1類に分類された商品全体にとっては向かい風ともいえますが、「X5」に関しては発売以来、ほぼ計画通りの数字を上げており、マイナスの影響は出ていません。久々の大型商品ということもあって、小売りの薬局からも高い期待が寄せられて、きちんと情報提供しながら販売してくれています。そうした意味では、薬剤師の「伴走」を得て、お客様とより深いコミュニケーションができるようになるのでは、と期待しています。
発売当日の新聞広告は高反響
臨床データでしっかりと機能を訴求
――マーケティング戦略についてお聞かせください。
購買層の中心は、実際に薄毛の症状が多く見られる50代です。しかし最近は、薄毛の症状がまだ現れていない20代や30代の若い世代でも、同じように髪の毛の悩みを持っている人が少なくないようなのです。薄毛で悩んでいる人はもちろん、将来的に不安があるような若い人たちにも使ってもらいたい。そういう意味では、幅広い世代にアピールしていきたいと考えています。
そのためにも、私たちが目指しているのは、「自信そして笑顔」の世界観です。「X5」では、福士誠治さん、ケイン・コスギさん、岸谷五朗さん、渡辺裕之さん、長塚京三さんと、20代から60代まで、各年代を代表する自信に満ちた笑顔のすてきな5人をキャラクターに起用し、イメージ醸成をはかりました。一方で、男性には実際の効果がわかるデータや、機能面を重視する傾向があります。このため、そうしたものを前面に出して、製品への理解を促すことができれば、と店頭にも臨床結果をまとめたボードを展示しました。
――メディアを使ったコミュニケーションは。
ターゲット層である男性に、今回は特に、臨床データをしっかりと「読んで」ほしい、という思いが強かったので、多くの男性が必ず目を通す新聞広告を中心としたコミュニケーションを展開しました。「発毛。X5。」をキャッチコピーに、臨床データを開示して新しくなったリアップの情報をしっかりと提供することで、機能面の訴求を行いました。
テレビでは、「笑顔。X5。」をテーマに、5人の俳優さんたちの笑顔を前面に出したCMを展開しました。髪の毛の不安を抱え、後ろ向きになりがちな気持ちを前向きにする「笑顔」や「自信」の表情を、テレビでは表現しています。
さらに、5人の笑顔と臨床データを組み合わせたポスターを東京、大阪、名古屋の主要駅に掲示しました。新聞、テレビそれぞれのメディア特性に合わせたキャンペーンをつなぐことで、一体感のあるコミュニケーションをねらいました。
――新聞広告のクリエーティブで工夫されたのは、どのような点でしょう。
よけいな要素は入れず、とにかくグラフを見てもらおうと思いました。1%製剤と5%製剤の発毛効果の違いをわかりやすく、比較広告の形で表現しています。大げさな表現や派手さは避け、ブランドカラーによる色使いにも気を配りました。新聞読者に信頼感を感じてもらえるためには、正しい情報をきちんと正直に伝えることが大切だと考えています。
――反響は。
発売日の6月1日に新聞広告を出したのですが、コールセンターに問い合わせの電話が殺到しました。ある程度は予想していて、対応するスタッフの数も増やしていたのですが、それ以上でした。
――今後の課題、展望などについてお聞かせください。
おそらく「リアップ」は数百万人という方に使っていただいていますが、ずっと使い続けている生活者、正しい使用法を続けている生活者は必ずしも多くはないのが現状です。しかし、ある期間使い続けてもらわなければ効果は期待できないし、使い始めたら一生使い続けていただきたい、と自信を持っておすすめできる商品です。そのために、適正使用についても継続して情報提供することが大事だととらえています。
お客様が何を求められているのか、その要望に対して私たちがどう応えていくのかというインタラクティブな関係を作りながら、いかに「きずな」を結んでいくかが今後の課題です。また、単に商品を提供するだけでなく、健康な毛髪を保つための正しい洗髪の知識や、食事や喫煙などの生活習慣といった情報も発信していきたいと考えています。
お客様と「きずな」を結ぶためにも、もっとも大切なのは信頼感です。「リアップ」ブランドのコミュニケーションという観点では、新聞のもつ信頼感をとても重要視していますし、信頼性の高いメディアであり続けてほしいと願っています。今回の臨床データは、使用後6カ月、1年といった経過を追うこともできます。6月の新聞広告がシリーズの第1弾という位置づけで、今後はデータの経過に基づいたシリーズ展開も考えられるでしょう。信頼性の高いメディアで信頼感のある広告づくりを続けていくことが、私たちメーカーと生活者の信頼感の醸成につながる、と期待しています。
リアップX5ブランドサイト http://www.taisho.co.jp/riup/riupx5/
リアップX5 第1類医薬品
・効能:壮年性脱毛症における発毛、育毛及び脱毛(抜け毛)の進行予防
・この医薬品は、薬剤師から説明を受け、「使用上の注意」をよく読んでお使いください