「これはいい」と誰もが思えるメッセージを商品化

 機能性を追求した生活用品や給食用器具を提供するレーベン販売が、2002年に販売を開始した「ののじ耳かきシリーズ」。グッドデザイン賞を受賞した画期的な形状とやさしい使い心地がクチコミで広がり、ここにきて人気が急上昇。現在までに200万本を販売している。開発秘話やコミュニケーション戦略について、代表取締役の髙部篤氏に聞いた。

特徴的な売り文句が2つ以上あれば発売

── 開発までの道のりは。

髙部 篤氏 髙部 篤氏

 私は考え事をする時、よく耳かきをするんです。耳を刺激するとスッキリする気がして。それがある日、耳かきが見当たらず、趣味の彫金で使っていた銀を耳かきの形にして使ってみたら、すごく気持ちがいい。ただ、先端の均一な丸みの成型が大量生産では難しく、試行錯誤の末、湾曲が容易に作れるワイヤ製の耳かきを発案しました。

── 発売後、どのような広がりを見せたのですか。

 発売当初は女性誌で取り上げられたり、理・美容師さんが耳かきサービスに使ってくれたりと、本物志向の方々を中心に支持され、その周辺の人にクチコミで広がっていきました。一昨年にドラッグストアでの販売を始めると、テレビや雑誌で取り上げられ、他社も新商品を出してきて市場がにぎわい、相乗効果で売り上げが急伸。現在は百貨店、生協の通販などでも人気を維持しています。

──ヒット商品を生む秘けつは。

 幾多の失敗作も作ってきた経験で言うと、「これはいい」と誰もが思えるメッセージを2つ以上発信できる商品はヒットの確率が高い。当社では、どんな商品もまず試作の段階でチラシを作り、特徴的な言葉が2つ以上出てきた物のみ製品化しています。耳かきは、「ソフトで安全」「痛くない」「気持ちイイ!」が売り文句でした。

── 新聞広告の狙いと反響は。

 知的財産を重視する商品なので、売るためというより、多彩なラインアップを周知することを目的としていました。また、当社の耳かきは感触がやわらかくお子さんの耳にも安心なので、ぜひ親子のスキンシップに役立ててほしいとのメッセージも込めました。情報量はかなりありましたが、くまなく読んだという反響が多く、紙面を保存しているためか、商品の申し込みも継続的に続いています。

── 今後の展望は。

 当社が目指すのは、単なる道具ではなく、ストレスなく気持ちのいい使い方ができる製品。今後も追求を続け、「ののじ耳かきシリーズ」に続くヒット商品を生み出していきたいですね。

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古来からのサジ方式を、ワイヤーを用いて
実現した画期的なソフト耳かき