昨今のウオーキング、トレッキングブームを受けて、アウトドアシューズの売れ行きが好調だ。多彩なブランドのシューズを展開しているエービーシー・マートの、販売促進部・広田智行氏に聞いた。
価格訴求からカテゴリー訴求へ
──アウトドアブームですね。
ウオーキングやトレッキングは昔から中高年層には人気でしたが、ここ2、3年は若者人口が増えています。富士山や高尾山への登山が注目されたことや、野外フェスティバルなどアウトドアの魅力が楽しめるイベントが増えていることもあると思います。街でもトレッキングファッションがはやっていて、それに合わせたシューズを求める女性も目立ちます。
── 売れ行きは。
売れているのは主に都心部で、1万円前後のものが売れ筋です。「登山専門店に並ぶ商品は高いし本格的すぎ。もっと軽快で機能性のあるものを」というニーズに対応した商品を充実させています。
── 広告戦略は。
従来は特価品の紹介が主でしたが、現在は「登山に最適」「朝のお散歩シーンに」といったライフスタイル別、カテゴリー別の訴求にシフトしています。というのも、不景気の時ほど消費者は買い物にシビアになる傾向にあり、本当に欲しい趣味の物にはお金を出し、ただ「安い」との理由では買わないのです。カテゴリー別の提案にしてからは 「面」の売り場展開ができ、店頭で買いたいと思ってくださるお客様も増えています。
── クリエーティブの工夫は。
楽しいアウトドアライフが一目でイメージできるビジュアルを心がけています。また、梅雨入り宣言直前には防水シューズ、富士山の開山直前にはトレッキングシューズと、季節感のある話題が記事に載るタイミングを見計らって、適した商品を紹介しています。
── 新聞広告への評価は。
靴の機能性を細かく文字で伝えることができますし、信頼メディアなので、「百貨店でしか買ったことがないが、新聞で見たので寄ってみた」という年配のお客様も多いですね。販売員のモチベーション喚起としての役割も大きいです。また、シューズメーカーとの関係強化にも役立てています。
── アウトドアブームは来年も続きそうですか。
続くと思います。実は、不景気になるとスポーツシューズが売れるといわれているんです。お金をかけずに楽しく体を動かせるからだと思いますが、「お金より心の豊かさ」という視点で今後も提案していきたいと思っています。