市民公開講座の採録紙面で疾病予防・治療を啓発

 昨年、第一製薬と三共との統合により新たなスタートを切った第一三共株式会社が、生活習慣病をテーマとする日本循環器学会総会・学術集会・市民公開講座の採録紙面を展開している。コーポレートコミュニケーション部・広報グループ長の田前雅也氏にお話をうかがった。

田前雅也氏 田前雅也氏

──市民公開講座への取り組みの意義は。

 医療用医薬品に関する情報を製薬企業から一般生活者に対して直接伝えることは、薬事法による規制によって厳しく制限されています。限られた条件の中、患者さんや一般生活者に向け有益な情報を提供するうえで、第一線の医師たちの声を通して病気の実態や予防・治療の方法についてお伝えできる市民公開講座は大変意義深い場だと考えています。

── ここ10年の医療現場の変化をどうご覧になりますか。

 一番実感しているのは、ネットの普及もあって、医療情報にセンシティブな患者さんがとても増えているということです。ただ、情報が氾濫(はんらん)しすぎて真偽がはかりにくく、疾患について誤った情報を信じる患者さんが増えているのも事実です。患者さんの誤った知識が、的確な治療の妨げとなっているケースも見られるようです。疾病の予防・治療法は日々進化しており、「この情報は正しい」と言える拠(よ)り所が求められてきている気がします。

── 朝日新聞を選んだ理由は。

 日本循環器学会の市民公開講座は1997年から三共が協賛し、それを引き継ぐ形で今年も採録紙面を展開しました。朝日新聞は健康意識の高い人や医師の購読率が高く、医療関係の記事も充実しているので、情報の信頼性を約束できる場として重視しています。

── 紙面構成の工夫点は。

 読者にわかりやすい構成になるよう心がけています。そのおかげもあってか「紙面を病院内に掲示したい」との反響も増えています。当社の営業には、医療関係者とのコミュニケーションツールとして役立ててもらっています。

4/29 朝刊 4/29 朝刊

── 企業として力を入れている情報提供活動は。

 健康維持や生活習慣病予防を応援するウェブサイト「eヘルシーレシピ」や「eヘルシーエクササイズ」を公開。医学的な見地を取り入れた食事や効果的な運動法を紹介しています。忙しい医師が限られた診療時間で患者さんにできるアドバイスは、「カロリーの少ない食事を」「適度な運動を」というケースも多く、具体的にどんな食事、運動をしたらいいのかまではなかなか及びません。私たちは食事療法や運動療法を側面から支援すべく、きめ細かな情報を提供することで、人々の健康で豊かな生活に少しでも貢献できればと願っています。