疾病への正しい理解を浸透させ 患者が暮らしやすい社会に

 糖尿病治療に用いるインスリンの世界的企業、ノボ ノルディスク ファーマ。日本でも糖尿病患者が増加する中、この分野のリーディングカンパニーである同社の疾病啓発の取り組みについて、インスリンポートフォリオマネジメント部部長の中川悟史氏にお話をうかがった。

中川悟史氏 中川悟史氏

── 一般生活者への啓発活動をどうとらえていますか。

 当社の糖尿病領域の製品はインスリン製剤に特化しており、創業以来一貫して、インスリンを通じた患者さんのQOL(生活の質)向上に取り組んできました。そのため、我々の企業活動は常にエンドユーザーである患者さんを意識しています。例えばウェブ上では、患者さんや市民向けに食事療法など幅広い情報を発信し、糖尿病協会とは、ウオークラリーのイベントを通じて運動療法を啓発する活動も16年続けています。

 患者さんとの交流を重視する精神が社内で受け継がれており、こうした啓発活動には社員がボランティア参加でき、自発的に参加する社員も数多くいます。

── コミュニケーションの課題は。

 治療が遅れると糖尿病は悪化し、重大な疾患につながる可能性が高まります。しかし、患者さんの中には、インスリンを治療の最終手段と位置づけ、使用を躊躇(ちゅうちょ)される方もいらっしゃいます。また、まだ注射への抵抗感が比較的強い現実があります。患者さんにはしっかりと情報を提供し、インスリンを治療の選択肢のひとつととらえてもらう。同時に、患者さんだけでなく一般の方にもインスリンの認知を広め、その理解を促進することが、リーディングカンパニーとしての当社の使命と考えます。

2007年 12/2 朝刊 2007年 12/2 朝刊

── 新聞広告の位置づけは。

 昨年の12月2日付と12月7日付の新聞広告は、「レベミル」という新製品の発売前のタイミングで出稿しました。

 今回のキャンペーンは、医療従事者と当社のMR(医療情報担当者)のコミュニケーションのきっかけづくりと、インスリン治療の正しい理解促進という2つの目的があります。読者に医師が多く、広く地域をカバーできる新聞広告は、今回の目的に合致しました。

 実は当社の新聞広告の出稿は過去に実績が少なかったため、医療従事者にはレベミルに力を入れていることがより伝わったようです。一般生活者に対しても、広告掲載後のモニター調査で、「医師と相談したい」と回答した人が想定よりも多く見られ、意図が伝わったことを実感しています。