大正製薬は、医師の処方がなくても購入できるOTC医薬品(一般用医薬品)について積極的な広告宣伝・情報発信活動を行っている。同社宣伝部長副理事の船橋誠氏にお話をうかがった。
──OTC医薬品の現状は。
生活習慣病で悩む人が増加傾向にあり、生活者の健康に関するニーズも多岐にわたってきています。そんな中、「血圧が高めの方」など、ターゲットに対応しているトクホ(特定保健用食品)が急速に市場に浸透しました。その結果、医薬品で治療すべき範囲までトクホで補うケースが増えているように感じます。
生活習慣の見直しの延長線上にある食品に対し、OTC医薬品はより厳格な科学的根拠による治療効果があります。生活者にOTC医薬品を再認識いただき、見直してもらうことが必要です。
そもそもOTC医薬品を使うには、薬についての正しい知識を持って自ら判断する能力が生活者に求められます。それを養うには医師や薬剤師といった専門家の説明が一番ですが、病院や薬店に行かないことも多いのが現状です。そこで、正しくOTC医薬品を使っていただくための情報提供にも気を付けています。
── 様々なメディアの中で新聞の評価や反響は。
テレビが情緒的な訴求や認知度向上に向くのに対し、新聞は情報提供型の訴求に適しています。特に「リアップ プラス」のような新製品や効き目の鋭い「パブロンエースAX」のようなスイッチOTC(医療用医薬品からOTC医薬品に転用したもの)などでは説明が必要なことがたくさんあり、新聞広告は魅力です。また、昨年から承認申請の段階で実際に使用したデータを新聞紙上で開示できるようになりました。詳細で正確な治験データを載せるには信頼性の高い新聞が適しています。
新聞広告を掲載する際は、事前にお客様相談室に知らせています。それほど反響があり、他のメディアと比べても新聞の反響が一番わかりやすい。また、社内には1,000人近い営業がいますが、新製品の場合は「今日から発売」という社内モチベーションのアップにもつながります。
薬は効き目と信頼感で売れる製品。「早めのパブロンを飲めば風邪のとき安心」と生活者に受け止めてもらうことがブランドのゴールでもあります。そのためにも、安心感と情報提供型のメディアで今後も広告展開をしていきたいと考えています。