実績ある教育ノウハウで教育の地方格差を是正

 東進ブランドで予備校を展開するナガセは、2006年10月に中学受験塾の老舗、四谷大塚をグループ化。実績ある教材「予習シリーズ」を使った教育ノウハウや学力テストを、提携校を通じて全国で展開する。ナガセ広報部にお話をうかがった。

未来のリーダーを全国から発掘する

──教育市場の今をどのようにとらえていますか。

 中学受験に話を絞れば、熱心なのは首都圏中心で、子供の学力も親の関心も地方とは格差があります。その背景にあるのは、塾産業の大都市集中です。地方では中学受験をしないことが、勉強しなくてもいいこととイコールになり、高い潜在力をもつ子供たちが地方に埋もれていました。それが近年、ゆとり教育への不安感の中で、学力向上に関心をもつ親たちが全国的に増えていると思います。

2007年 10/8 朝刊 2007年 10/8 朝刊

──御社が具体的に展開されている取り組みは。

 四谷大塚には長年評価を得ている教育システムがあります。それを広げていこうと、2007年11月に全国統一小学生テストを開催、52,000人が受験しました。全都道府県に会場を設け、全国レベルでの自分の学力ランクや得意不得意を知ってもらうテストです。

 また2008年2月からは、全国の塾と提携し、四谷大塚と同様に、「予習シリーズ」で学び週末にテストが受けられる「四谷大塚NET」をスタートさせます。これまでは土曜のテストから答案返送までに4日程度間隔がありましたが、テスト翌日の正午までにウェブで結果を伝えることでそれをなくしました。

 ナガセの教育哲学は、「社会に貢献する人財を育成する」ということです。中学に合格すれば終わりということではありません。優れた教育プログラムを全国に展開することで、多くの未来のリーダーの芽を発掘できると思います。

──全国統一小学生テストでは、15段広告をはじめ3回にわたって新聞広告を出稿されました。

 四谷大塚は首都圏では非常に有名ですが、地方においては、ブランドネームとして通用しない面があります。全国テストの四谷大塚という新しい位置づけを広く訴えるために、新聞を使いました。反響もよく、一般受験者の約半数が新聞を見て応募したと答えていますし、口コミを誘発する効果もありました。「競争」という言葉を用い、公平な場で自分の学力を正しく知ることの大切さを伝えたかった我々の意志を、多くの読者の方たちに理解賛同していただけたと思います。