現場の要望を素直に受け止め正直に実行する姿勢を貫く

 小学2年生から高校生まで、幅広い学力レベルや教育ニーズに応じて多様なコースを全国展開する栄光ゼミナール。全国最大の経営規模を誇りながら、一人ひとりのニーズをくみ取り、市場を開拓するその経営戦略を、広報部部長の横田保美氏にうかがった。

「受験塾」である前に子供の成長の見守り役

横田保美氏 横田保美氏

── 教育市場の今をどのようにとらえていますか。

 90年代後半から塾業界はかつてない不況を迎え、実績や教室数などを競争軸にサバイバルが始まりました。競争が激化する中で生徒数は再び増加に転じますが、契機はゆとり教育の導入です。少子化が進む中でも中学受験者が増え、公立の中高一貫校という新しい市場の登場も追い風になりました。

 現在は、生き残った強者同士の企業合併・買収競争が激化しています。明らかなことは、教育事業だから塾は特別ということはなく、社会の変化と共に経営のあり方も変わりますし、市場ニーズに応える戦略が求められるということです。

── 御社が具体的に展開されている取り組みは。

 栄光ゼミナールにはさまざまなコースがありますが、すべての中心にあるのは、お客様の要望を素直に受け止め、正直に実行する姿勢です。その一例が、小学2・3年生を対象としたジュニア指導で、これは「子供をすこやかに育てたい」という保護者の要望を受けてスタートしました。

 また、これまで高い実績を上げることができた公立中高一貫校受験のコースも、お客様の要望から一部の教室が自主的に始めた授業が、体系化されて広がったものです。大手としてはいち早く取り組んだ個別指導も、発端はとにかくそこにお客様の要望があったということでした。

 今の保護者は単にいい大学に入れるためではなく、まじめに学習に取り組む意欲や、考える力を伸ばす教育の役割を塾に期待しています。親にとっては一人ひとりが「特別な我が子」であり、そのニーズを一般化することはできません。よりパーソナルなニーズに細やかに応えることが我々の役目だと考えています。

── JR東日本の車内に掲出しているドア上ポスターと連動した広告を朝日新聞に出稿されています。

 90年代初頭から、広告では口先のかっこよさではなく、分かりやすい言葉で事実を伝えることを基本にしています。すべてのメディアで誠実であることを心掛けていますが、特に新聞は客観性を重視する私たちのメッセージと相性のよい媒体だと思っています。

JRのドア上広告と連動した全1段の新聞広告 JRのドア上広告と連動した全1段の新聞広告
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