「ひと部屋に生徒一人、先生一人」の個別指導で高い実績を上げる進学塾「TOMAS」を中心に、個性をキーワードとした多面的な教育事業を展開するリソー教育。代表取締役会長兼社長の岩佐実次氏に話をうかがった。
個別指導のノウハウをITを利用し私立高に
最大の問題は、公教育の場である学校と、塾の役割が混沌(こんとん)化していることです。税金で運営される公立学校は不特定多数に向けた教育が本来の姿であり、私立学校は教育の独自性に存立の意味があるはずです。一部生徒向けの補習授業の是非や塾のあり方なども場当たり的に論議せず、学校教育は原点に立ち戻るべきだと思います。
── 御社が具体的に展開されている取り組みは。
リソー教育の目標は、個性豊かで、国際社会で活躍できる人材の育成です。そのための教育として、弊社が実践してきた個別指導教育があります。最近のお父さん、お母さんは現実をよく見ていらっしゃって、何が何でも有名大学に入れるよりも、我が子に合った大学で、「生きる力」を養う方が大切だと考える方が増えていますね。弊社が実践してきた、個性や能力に合わせた個別の学習カリキュラムの提供がより重要になっています。
教育事業で得た利益は、スポーツや芸術活動の支援など子供の情操教育に寄与する形で社会に還元するのが弊社の方針です。中高一貫のインターナショナルスクールの設立も準備中ですし、将来は病気の子供がベッドの上でも個別指導が受けられる小児病院の設立が私の夢です。
また今年2月期から、インターネットTV電話を利用した個別指導システム「スクールeステーション」が、約30校の私立高に導入されます。これは好きな時に好きな先生に個別に教えてもらえる革命的なシステムです。スタートは6年前ですが、ようやくインフラが追いつき、学校の自習環境と弊社が持つ個別教育のノウハウが低コストで結びつきました。
── 朝日新聞には毎月1回、Q&A形式の企業広告「子育てお悩み相談室」を掲載されています。
広告に関しては、投資効果の面と、社会に役立つという二つの面からとらえています。「子育てお悩み相談室」の目的は後者で、教育問題に熱心な朝日新聞の読者に対して、企業イメージの向上になればと思っています。生徒募集はこれまでチラシ中心でしたが、首都圏に60校と教室も増えた今後は、「TOMAS」の個別指導はどこが他と違うのか、広く社会に伝える広告も検討したいと思います。