ビームスは昨年9月22日、大人の男女に向けたファッション広告を朝日新聞のエリア広告で展開した。ビームスクリエイティブ販売促進部プレス兼ビームスレコーズ事業部ディレクターの青野賢一氏にお話をうかがった。
――エリア広告を展開した経緯は。
ビームスは1976年に創業して以来、洋服だけでなく、雑貨や家具、カフェなど、ライフスタイルを提案するブランドとして展開してきました。カジュアルで若い人向けといった印象が強かったのですが、02年、東京・丸ビルに大人の男女に向け、オンとオフのスタイルを提案する「ビームスハウス」を開店。カジュアルだけじゃない、若い人だけじゃないと、広くアピールすることが必要になってきました。シーズンカタログや雑誌広告での訴求から始めましたが、これらをチェックする顧客は能動的に情報を取りにくる人たち。情報はほしいが自分では動かない、でも気に入ればアクションを起こす、そういった層はどこにいるかを考えたところ、新聞に行き着いたのです。すでにショップは全国的に展開していますが、津々浦々とまではいきません。エリア広告はショップがある地域に限定して配布することができますし、タブロイド判で私たちが希望するビジュアル展開が本紙よりも実現しやすいことから、出稿を決めました。
――クリエーティブでこだわった点、苦労したポイントなどは。
広告は、ともすれば流されてしまいがちなものですが、きちんと読んで、楽しんで、その上で納得してもらいたいと考えました。そこで、商品と直接関係なくても、ファッションっていいなと感じてもらえるコラムを入れることにこだわりました。ファッションとの距離を縮める試みだったともいえます。難しかったのは、ブランドアイデンティティーを保ちつつ、いかに広い層にわかりやすい表現にするか。正直なところ、メンズのページは、読者にとって多少ハードルが高かったかなとも感じていて、今後の課題でもあります。
――エリア広告に期待する点などあればお聞かせください。
紙質や印刷技術の向上が最大限に生かされているのがエリア広告。表現の自由度が高いことが魅力です。さらに、“新聞らしさ”があるのがエリア広告の特長です。たとえば朝日新聞の英字ロゴが載るだけでも、品格や存在感が格段に違ってくるように思います。
「新聞広告でこんなことが!」というような、いい意味で違和感を感じる仕掛けで、ファッションの啓蒙活動を続けていきたいと考えています。
2007年 9/22 タブロイド判12ページ
それぞれ半分ずつ掲載されている
メンズでは服飾評論家の遠山周平さんがコラムを執筆