読み応えのある記事で幅広い層に腕時計の魅力を伝える

 配布地域をきめ細かく絞り込むことで、精度の高い宣伝効果を生み出すエリア広告。2007年12月に24ページにわたるエリア広告を朝日新聞社と共同で企画・発行した、ワールドフォトプレス『世界の腕時計』誌の編集長・香山知子氏にそのねらいやクリエーティブについてうかがった。

香山知子氏 香山知子氏

――エリア広告を発行した背景をお聞かせください。

 『世界の腕時計』は1991年に創刊された、腕時計愛好家のための専門誌です。雑誌を編集している立場から見て、ここ数年、腕時計市場は活況を呈していると言われていますが、実際に購入する人は減っていると感じていました。確かに、機械式時計は中価格帯のモデルでも数十万円はするので、そう簡単に買えるものではありません。しかも、時刻は携帯電話でわかるので腕時計をしないという人も増えています。そういった状況をふまえ、マニアではない方にも幅広く腕時計に興味を持ってもらうための新しいきっかけ作りが、エリア広告ならできるのではないかと考えました。

――エリア広告に期待された点は。

 ひとつは、世帯年収などの情報を抽出してターゲット層と配布地域を絞り込むマッピングシステム。もうひとつは、今回東京で50万部、大阪で30万部を配布しましたが、そういった雑誌にはないボリュームの発行部数にも注目しました。また、印刷の技術が向上したことで、色合いやフォルムなど、時計の質感を美しく再現できることも大きな魅力でした。さらに、「朝日新聞」の題字が併記されたことが、読者に信頼感を与えてくれたと感じています。

2007年 12/8 タブロイド判24ページ 2007年 12/8 タブロイド判24ページ

――クリエーティブではどのようなことを心がけましたか。

 「時計ってこんなに楽しいものなんだ」と感じてもらうために、単なるカタログにならないよう気を配りました。自分たちが持っている時計業界の人脈や取材網を活用して、天才時計師と呼ばれるフランク・ミュラー氏のインタビューや、オフィチーネパネライがスポンサードしたフェラーリのイベントリポートなど、読み応えのある記事を中心に構成しました。

――今後の展開をお聞かせください。

 4月にスイスで開催される腕時計とジュエリーの見本市、『バーゼルワールド』と『SIHH』を取材して、6月下旬以降から第二弾・第三弾として発行する予定です。夏以降に発売される新作や、フェア会場周辺のリポートなど、雑誌とはひと味違う切り口で企画を用意して、幅広い読者層に腕時計の真の魅力を伝えていきたいと思います。