創業124年を迎える靴メーカーの老舗・アサヒコーポレーションは、2016年2月に行われたアクティブシニア向けイベント「朝日新聞ReライフFESTIVAL」に協賛。盛況だった足型測定やフィッティングの模様を、翌月末に出稿した採録の新聞広告に盛り込み、大きな反響を得た。今後も体験にこだわり、靴が健康に与える影響の大切さを啓発していく。
アクティブシニア向けイベントに協賛し、機能性の説明と体験者の生の声を掲載。計900件の反響
「しっかりと足を包み込んでくれるので、足が守られている感じがしました」「毎日1時間半から3時間ほど歩くので、この歩きやすさはうれしいです」
これらは、アサヒコーポレーションが開発・販売するウォーキングシューズ「アサヒ メディカル ウォーク」を試し履きした方々から実際に聞かれたコメントだ。同社は、2016年2月29日に東京で開催されたイベント「朝日新聞ReライフFESTIVAL」に協賛。ブースを出展し、足型測定およびフィッティング体験会を行った。冒頭のような生の声を捉え、イベントの様子とともに3月28日付朝刊に新聞広告を出稿。「広告の反響は非常に大きく、掲載当日にはコールセンターへ約400件、その後1カ月間にわたり計900件に上る問い合わせがありました」と、同社執行役員 商品企画部 部長の塚本栄治氏は手応えを語る。
靴裏のかかとの部分に特殊なスクリューを搭載し、衝撃を吸収してひざの負担を和らげるアサヒ メディカル ウォークは、発売10年になる同社の人気商品。特に近年は、機能面だけでなくファッション面に対する要望も受け、色やデザインは毎年改良を重ね、現在では販売累計125万足を突破している。
この商品を含め、同社は商品販売において「体験」を非常に重視している。以前から、全国の小売店や百貨店と協力して、年間1,700回以上も足型測定会やフィッティング体験会を実施。同社社員みずから、あるいは同社のレクチャーを受けた店舗のスタッフを通した解説で、靴選びのポイントや商品の機能性を理解してもらった上で販売するスタイルにこだわる。独自に開発した足型測定器は、各地の営業所合わせて現在84台が稼働中、その徹底ぶりがうかがえる。
「靴のサイズは、たとえば足のサイズが23cmの人が履いてみてぴったりであれば、靴サイズを『23cm』と表記する仕組みになっているので、メーカーによってそのフィット感がまったく違ってきます。だからこそ靴は『履いてみる』という体験が大事なのです。体験を大切に、足型を測って足に合う靴をおすすめするのは、当社で『アサヒスタイル』と呼んでいる活動の一部です」と塚本氏。ReライフFESTIVALへの協賛を決めたのは、ターゲット層が合致したことに加えて、このスタイルで来場者にアピールでき、反応を直接確認できる場だと判断したからだと語る。
「その様子を採録した新聞広告についても、イベントを通じてアサヒスタイルを広告紙面で表現できるチャンスだと考えました。また、昨年6月に朝日新聞本紙『Reライフ』記事内の『そばに置きたい』という連載で、当社製品が紹介され、その反響の大きさに度肝を抜かれたことも出稿を後押ししました」
靴が健康に与える影響を啓発、健康寿命を延ばしたい
ウォーキングは、アクティブシニアの関心が高いテーマの一つ。イベント当日は元マラソン選手の増田明美さんによる講座が開催されたこともあり、足型測定やフィッティング体験会は予想を上回る盛況ぶりを見せた。「どこで買えるのか」という質問も多く、都内近郊の取扱店リストが役立ったという。
「足型測定自体は写真の撮影なので一瞬ですが、その後の説明やフィッティングでは皆さん積極的に質問してくださり、中には『1日1万歩が推奨されているけれど本当はどのくらいが健康にいいのか』など専門的な質問もあって驚きました。直接お客様に接することができるこのようなイベントは、ぜひ続けていただきたい。媒体社とメーカーが一緒になって、健康への啓発ができる場だと思います」
本商品を含め、シニア向け商品の売り上げが全体の半分以上を占める同社では、広告宣伝において特に新聞広告に注力してきた。その理由を、塚本氏は「機能性シューズを説明するには短いコピーや画像だけでは不十分。加えて、新聞の読者は説明をしっかり読んでいただける、読解力が高い方が多いと捉えている」と語る。後日に出稿した採録紙面では、商品の特長であるスクリューを大きく訴求しながら、その機能性やイベントの様子、そして参加者の生の声をしっかりと読めるように構成。
これまで、新聞広告ではなかなか生の声を生かした広告制作には取り組めていなかったという。そんな中、今回のようなタイアップ形式は、新聞広告では初の試みとなった。
「実際に大きな反響があったので、口コミを紙面上で表現できることは効果的だと実感しました。今後もイメージ優先の純広告だけではなく、このようなタイアップ広告の形を模索していくつもりです」
目下の課題は、小売店の販売支援と新しい売り場の開拓、そして国内生産の強化だ。街の靴屋の閉店も目立つ中、前述の体験会などを通して販売促進につなげながら、たとえば電化製品や家具の販売店、調剤薬局などターゲット層が来店する場と交渉し、靴を並べる棚を持ち込んで新しい売り場を設けている。
国内生産の強化については、日本製を望む顧客の声以上に「メーカーとしての責任がある」と塚本氏は力を込める。現在、商品の一部は海外生産をしているが、その国の政策によって人件費など影響を受ける部分も大きく、福岡の自社工場で生産するほうが安定的だ。「靴が足や体全体の健康に与える影響は、皆さんが思われている以上に大きいものです。今後もこれらの課題に取り組みながら、靴を通して健康寿命を延ばすことに寄与できればと思います」