太陽生命は7月23日、同社がラグビー女子日本代表を支援していることを伝える新聞広告を出稿。今年11月には、2016年リオ五輪のアジア予選大会を控え、ラグビーには注目が集まっている。広報部長(取材当時)の初芝 進氏は「選手の士気向上につなげるとともに、女性を応援する当社の姿勢も打ち出せれば」と語る。
主役は選手、メッセージは一言に留めた新聞広告
「太陽生命は、女子ラグビーを応援しています。」個々の選手の躍動感、そしてチームの一体感を印象付ける写真に添えられたのは、ごくシンプルなメッセージ。女子ラグビーへの支援をメインに据えた広告を出すのは、初めてのことだという。「広告には色々と思いの丈をつい盛り込みたくなります。ですが、やはり選手を見てほしいと、シンプルなクリエーティブにしました」と、太陽生命 広報部長(取材当時)の初芝 進氏は話す。
同社はCSR活動の一環として、2011年より全国中学生ラグビーフットボール大会へ特別協賛し、「太陽生命カップ」を提供している。同大会にはU15女子のエキシビションマッチの部も設けられていることから、2012年には成人男子ラグビーの国際大会での女子のエキシビションマッチも協賛した。
「こうしたかかわりの中で、女子ラグビーのプレー環境がまだ整っていないことを知りました」と初芝氏。男子に比べて練習や試合の場所に困ることもあり、日本代表レベルでも、会社勤めやアルバイトと二足のわらじで活動に励む選手が少なくないという。
そこで、太陽生命は2013年の創業120周年を機に、ラグビー女子日本代表のオフィシャルスポンサーとなることを決定。翌年には女子7人制ラグビーの国内リーグ戦「太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ」(朝日新聞社後援)を立ち上げた。
こうした決断に至った背景には、自社の認知度の向上と、それにつながる社会貢献を強化する意図がある。さらに「活躍する女性を応援する」という会社としての姿勢が重なって、女子ラグビーへの本格的な支援につながった。
「以前から、福利厚生の面などで女性社員の活躍を後押ししてきましたが、この周年を機に、改めて女性を応援する企業姿勢を社内外へ打ち出したいと考えました」(初芝氏)
冠スポンサードの大会は社内の一体感醸成にも
このタイミングで女子ラグビー支援を全面に据えた広告を初めて出稿したのは、2016年リオ五輪で7人制ラグビーが正式種目に決定し、その予選を今年11月に控えているからだ。特に女子の日本代表チームは近年着実に力をつけており、五輪出場が期待されている。今回、大会の特集記事掲載に合わせて、効果的に広告を出稿することを決めた。
太陽生命広報部内でスポーツ支援全般を担う、課長の岩田まち氏は「試合や練習に足を運ぶ中で、選手の皆さんが本当に頑張っていることを実感しています」と話す。「フィールドでは迫力あるプレーで圧倒されますが、試合後の選手交流イベント『アフター・マッチ・ファンクション』では歌やダンスで盛り上がり、皆明るくてかわいらしい。11月に向け、注目度に弾みをつけるには、やはり選手一人ひとりをクローズアップしたいと考えたんです」
その思いが奏功し、広告へはまず社内から好評の声が。まだ身近で大会が行われていない支社のスタッフからも反響を得たほか、「応援しています」の一言に自社の主張を留めた構成に、「分かりやすい」との評価があったという。
試合の結果や選手のメッセージは、日ごろから社内報やイントラネットでも紹介。今年の「太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ」では、首都圏に加えて秋田大会を行い、同エリアのスタッフの観戦を促した。女子ラグビー自体のメディア露出が増えている最近では、大会名に社名が入っていることが、社内の一体感の醸成や広報活動への理解にもつながっている。「女子ラグビーの存在感が高まって、実際に企業として支援できている手応えがあるのはうれしいですね」と岩田氏。
会社の広報宣伝の一環ではあるが、初芝氏は「選手の皆さんが注目を集め、観客や競技人口が増えれば、プレー環境もさらに良くなり、ひいては当社のブランディングにもつながる。そんな好循環が理想です」と展望を話す。選手の士気の向上を念頭に、長く支援を続ける意向だ。
太陽生命ウィメンズセブンズ第1戦・保土ヶ谷大会