腸を健康に保つことが、様々な病気のリスク低減につながることが明らかになってきている。カギを握るのが100兆個にも及ぶ腸内細菌。なかでも「善玉菌」として知られる代表的な腸内細菌がビフィズス菌だ。5月、グリコ乳業が独自のビフィズス菌の周知のため、朝日新聞に全30段の広告を掲載した。
グリコ独自のビフィズス菌の機能訴求に特化
しっかり読んでもらえる新聞広告
グリコ乳業は、同社が持つ一万菌株の中から、生きたまま腸に届き、腸内で増える「ビフィズス菌BifiX」を発見した。
同社は、5月10日付朝日新聞朝刊の全30段広告で、このビフィズス菌BifiXや腸内細菌を解説した。マーケティング本部コミュニケーショングループの石田 潤氏は、出稿の背景について次のように語る。
「ビフィズス菌BifiX自体は、以前から、弊社の基幹商品である『朝食プロバイオティクスヨーグルト』に使用しておりましたが、これまでは「ビフィズス菌BifiX」の機能性については、商品パッケージでも広告でも積極的には訴求してきませんでした。しかし、どのような菌が含まれていて、どのような特徴を持つのかを伝えなければ、商品への理解も進まないと考えました」
今年2月に、商品名を『朝食BifiXヨーグルト』に変更するタイミングに合わせ、そこに焦点を当てた宣伝活動をスタートした。朝日新聞に掲載した広告もその一環だ。紙面では「ビフィズス菌BifiX」の機能訴求に特化した内容にした。
「新聞は、私たちからの情報やメッセージをしっかりと読んでもらった上で、理解してもらう媒体です。特に朝日新聞は、健康に対する意識が高く、健康情報に関心をもつ読者が多いととらえており、このビフィズス菌を使った商品のターゲットにマッチしていると考えました」と石田氏。そして、こう続ける。
「ビフィズス菌BifiXはグリコが自信を持ってお届けしたい菌である、という宣言を、新聞で広くお伝えし、信頼感、安心感につながればと考えました。そうした場合は新聞が最適だと思いました」
ビフィズス菌BifiXを含む商品は、固形ヨーグルト、ドリンクタイプのほか、主におなかの健康に関心の強い女性をターゲットにした「高濃度ビフィズス菌飲料BifiX1000」がある。夏に向けてフローズンタイプの「BifiXフローズンジェリー」も発売中で、今後も関連商品を次々に打ち出していく考えだ。
2014年5月10日付朝刊 全30段 グリコ乳業
若い世代も含め 幅広い新聞読者にリーチ
全30段広告は、イメージキャラクターである女優の仲間由紀恵さんが説明するような印象のレイアウト。全体を統一する淡いブルーがさわやかな印象だ。テレビCMをはじめとする、すべてのクリエーティブで統一している世界観だ。「おなか×ビフィズス菌BifiX → 新しいカラダ」というアイコンを配し、ビフィズス菌BifiXがおなかの調子を改善し、「新しいカラダ(=健康)」につながるという流れを表現している。
掲載後の調査では、興味深い結果が得られた。
「新聞の読者層から考えて、当初健康に関心のある50~60代の反応がいいと予想していたのですが、フタを開けてみたら20~40代の若い世代の印象に残ったようなのです。乳酸菌やビフィズス菌を前面に押し出す他社の競合商品に比べると後発商品なので、新しいものを試してみたいという若い層に響いたのかもしれません」。そう分析した上で、石田氏は今後のコミュニケーション戦略について次のように語った。
「ターゲットへの訴求は当然重要ですが、一方で、ターゲットに関わらず、広くビフィズス菌BifiXの知名度を上げ、理解を深めてもらい、社会的に信頼のあるものにしていきたい。そのためには、朝日新聞で展開したような、商品とは別の『ビフィズス菌BifiXのみのコミュニケーション』は重要ととらえており、今後も取り組んでいく考えです。『ビフィズス菌といえばBifiX』という認識が定着するのが理想です」
「おいしさと健康」。ビフィズス菌BifiXは、グリコの企業理念を体現する菌であり、その先に商品がある。
「グリコグループの資産としてさらに力を入れながら、そのコミュニケーションと商品を通じ、『信頼感』『優れた研究力』『洗練されている』というグループイメージを醸成していきたい」と、石田氏は力強い言葉で結んだ。