中核損保2社の「機能別再編」がスタート シリーズ広告でシナジー効果を訴求

 損害保険大手MS&ADインシュアランス グループ ホールディングス(以下、MS&ADグループ)が、傘下の三井住友海上火災保険(以下、三井住友海上)、あいおいニッセイ同和損害保険(以下、あいおいニッセイ同和損保)および三井住友海上あいおい生命保険(以下、三井住友海上あいおい生命)の事業の「機能別再編」を進めている。その概要を伝え、シナジー効果について広く周知するべく、1月末から3週にわたってシリーズ広告を展開した。

広告展開に先がけ、インナーコミュニケーションを徹底

 MS&ADグループは、2010年4月に三井住友海上グループ、あいおい損害保険、ニッセイ同和損害保険の3社が経営統合して発足した、3つの損害保険会社(三井住友海上、あいおいニッセイ同和損保、三井ダイレクト損害保険(以下、三井ダイレクト損保))と2つの生命保険会社(三井住友海上あいおい生命、三井住友海上プライマリー生命保険(以下、三井住友海上プライマリー生命))の5社を傘下に収める保険・金融グループである。日本国内における損害保険事業の正味収入保険料シェアは第1位だ。(各社公表資料より同社調べ)

藤川悠樹氏 藤川悠樹氏

 本年度からは、グループの新中期経営計画がスタート。お客様ニーズや販売方法の多様化、国内外における規制環境の変化などにスピード感をもって的確に対応すべく、持ち株会社傘下の保険会社を機能別に再編することにした。「機能別再編」とは、昨年3月の改正保険業法施行で可能となった、「保険契約の移転」「保険募集の再委託」を活用したもので、過去に例のない全く新しいビジネスモデルである。

 例えば、三井住友海上が強みとする船舶保険、貨物・運送保険、航空・宇宙保険については、あいおいニッセイ同和損保が引き受けた同種の保険契約を満期を迎えるごとに三井住友海上へ切り替え、移行する。一方、三井住友海上とあいおいニッセイ同和損保が共に取引している「モーターチャネル代理店」と呼ばれる自動車整備工場や中古車販売業などの副業代理店のうち、あいおいニッセイ同和損保が主要取引先となっているものについては、三井住友海上が引き受けている保険契約を、満期を迎えるごとにこれを強みとするあいおいニッセイ同和損保に切り替え、移行する。こうした再編に際しては、システムの共有化を実施するとともに、両社の相対する領域ごとに専門部会を立ち上げ、互いの強化分野を確認し合った。

 「三井住友海上は、総合力を発揮し他社優位性のある商品・サービスを提供し、国内外を問わずグローバルな保険・金融サービス事業を展開していきます」(三井住友海上 経営企画部 機能別再編推進室長 米谷英俊氏)
「あいおいニッセイ同和損保は、トヨタグループ、日本生命グループというパートナーとの関係を強化、特長を生かすとともに、他社優位性のある商品・サービスを提供し、地域密着営業を展開していきます。海外においては引き続きトヨタディーラーを通じたリテール事業を中心に展開していきます」(あいおいニッセイ同和損保 経営企画部 機能別再編推進室長 髙橋芳一氏)

髙橋芳一氏 髙橋芳一氏

 機能別再編の意義・目的を、社内イントラネットや社員向けテレビ番組などを通じて繰り返し社員へ伝え、意識浸透を徹底。また社内報では、両社の社長の対談記事を掲載するなどし、グループの一体感の醸成を図った。
  「再編のうち、地域における販売網・拠点の集約は、お客様、代理店、社員など多くの方が関係する取り組みです。そのため、再編後の姿を社内外に明確に伝えていく必要がありました。地域における販売網・拠点の集約の本格スタートは15年4月1日ですが、一部地域は今年10月1日から始まります。そこで、年初から新聞広告を活用したプロモーションを展開しました」(米谷氏)

 

新聞のエリア性を生かし、2社の責任者が地域ごとに紙面に登場

 初回は、MS&ADグループが、三井住友海上、あいおいニッセイ同和損保、三井ダイレクト損保、三井住友海上あいおい生命、三井住友海上プライマリー生命という5社から成ることを、5つの手がガッチリと組み合うビジュアルと、「すべてを守るために、挑む。」というコピーで表現した。
  「三井住友海上、あいおいニッセイ同和損保といった社名の認知は高いのですが、『MS&AD』という統合後のグループ名の認知はまだ低く、初回の広告では、グループ名の認知向上に主眼を置きました」(米谷氏)

 翌週に掲載した第2弾では、全国津々浦々におけるお客様、代理店、保険会社のコミュニケーションを表現するため、全国各地のビジュアルを格子状に配置。背景の地平線や水平線が連なっている表現を通じて、機能別再編により、これまで以上に一体感を持ってお客様をお守りできる代理店・事務所のネットワークが構築されることを伝えた。

 そして第3弾では、三井住友海上、あいおいニッセイ同和損保の両本部長が登場し、再編に向けた意気込みを語った。地域別に広告原稿を作成、その数は15種類に及んだ。掲載エリアごとに、その地域担当の本部長を登場させたためだ。
「お客様や代理店の方々が普段から顔を合わせる地元の本部長が登場したため、『新聞に掲載されていましたね。見ましたよ』という反応が多かったようです。機能別再編は地域の方々に深く関わる取り組みなので、エリアごとの訴求は大変効果的でした」(高橋氏)

MS&ADインシュアランスグループ 2014年 朝刊 全15段 シリーズ

2014年1月30日付 朝刊 全15段 1月30日付
2014年2月6日付 朝刊 全15段 2月6日付
2014年2月13日付 朝刊 全15段 2月13日付
野口朋泰氏 野口朋泰氏

 その他のコミュニケーションとしては、機能別再編の概略や今回の新聞広告の内容をまとめた小冊子を作成し、社員、代理店向けの説明ツールとして活用した。

「新聞広告はメッセージをじっくり読んでもらえるメディアです。機能別再編という、前例のない取り組みについて分かりやすく説明する上で最適だったと思います。また、持ち運んでお客様との面談などで紙面をお見せすることができるというのもいいですね」(あいおいニッセイ同和損保 広報室 担当課長 野口朋泰氏)

「新聞紙面は手元に残り、時間をかけてじっくり読んでもらえるため、社名やメッセージが、より深く読者の心に届いたのではないかと思います。また広告内容は、三井住友海上、あいおいニッセイ同和損保の両社ホームページにも掲載し、広告に込めた思いを伝えました」(三井住友海上 広報部 課長代理 藤川悠樹氏)

藤川悠樹氏 藤川悠樹氏

 広告の反響については、「MS&ADグループがサービス向上を目指して新体制になることがよくわかった」といった意見の他、「三井住友海上とあいおいニッセイ同和損保が同じグループだと初めて知った」という意見もあったという。

 最後に今後のコミュニケーション戦略について、米谷氏より、次の通り説明があった。
「機能別再編という新たな再編手法は、繰り返し説明していかないとなかなか意義・目的が伝わりません。今後は活用メディアを広げることも考えています。再編のスケジュールとしては、前述のように今秋と来春に大きな節目があり、そこを意識しながら継続的にコミュニケーションしていきたいと思っています」