7月14日は内視鏡の日。2006年に内視鏡医学研究振興財団が日本記念日協会より認定を受けて制定された記念日だ。その周知のため、当日の朝日新聞全国版朝刊に全5段広告と複数の小型広告が掲載された。
内視鏡のイメージ向上はトップメーカーの役割
広告主は、世界を代表する内視鏡メーカーでもあるオリンパスだ。今回の掲載に至った背景について、コーポレートセンター コーポレートサービス本部 ブランド宣伝部 媒体グループ グループリーダーの進藤悟氏と課長代理の松井恵里氏は次のように語った。「内視鏡の進歩はめざましく、従来では難しかった詳細な観察や高度な治療が可能になってきているばかりでなく、患者さんの負担も様々な技術開発により軽減されてきています。ですが、内視鏡検査と聞くと昔の胃カメラをイメージされ、「痛い」「怖い」といった先入観から敬遠される方が多いのも事実です。内視鏡メーカーとして、そういったイメージを少しでも変えてもらいたいと思っています。
そこで、「内視鏡の日」という記念日を活用して、当日の朝刊に広告を掲載し、一般の方々が内視鏡検査について考えるきっかけになればと考えました」(進藤氏)
「世界の内視鏡市場におけるオリンパスのシェアは約70%とトップです。内視鏡検査の重要性を認識しているからこそ、弊社が先導して世の中に浸透させていきたいという思いもありました」(松井氏)
小型広告は、1面の題字下のスペースを含めて7カ所に掲載。「『大丈夫だよ』と『大丈夫だったよ』は、ぜんぜん違う。」「築40年のこの家より、私のカラダは古い。大事にしよう。」など、印象的なコピーで展開した。
「小型広告を複数面で展開することによって、あるページで見逃しても、別のページで気付いてもらえる可能性がありますよね。少しでも多くの方に読んでもらえるように、コーポレートカラーの『ブルー』を基調とした小型広告を新聞全体にちりばめました。コピーは、内視鏡検査の必要性を自分のこととして考えるきっかけとなるように、心に引っかかるようなものを検討しました。新たにマークも作りました。ぱっと見ただけでも7月14日が内視鏡の日であると認知しやすく、全ての広告に入れることで統一感も出せます。内視鏡をより身近に感じていただくために、親しみやすいデザインにしています。小型広告だけでは補いきれない情報については全5段の広告に盛り込みました」(松井氏)
「これらの広告は、あくまでも一般の方に向けたものであり、内視鏡を身近に感じてもらうことが目的です。検査が必要な方に対して、先入観に左右されることなく正しい知識を身につけてもらうきっかけを提供することも、内視鏡メーカーにできることだと思っています」(進藤氏)
2013年7月14日付 朝刊
「読んで、考えてもらえる」新聞でしっかり伝える
内視鏡検査における主なターゲットは30代後半から60代だが、今回はターゲットを限定せず、より幅広い世代に向けて発信した。
「内視鏡や内視鏡検査について考えるきっかけを与えるために、例えば20代であれば親のことを考えるとか、60代や70代の方であれば40代のお子さんを思い浮かべるとか、『家族』という単位で伝えることを目指しました」(松井氏)
掲載当日は、内視鏡の歴史や現状についての記事も大きく掲載された。
「記事もありましたので、読者にはより深く浸透したのではないかと思います。掲載後の調査では『コピーが胸に響きました』という声のほか、『内視鏡について考えるきっかけになった。こういう広告は今後も継続してほしい』という声も多くありました。朝日新聞は、医療系の記事が強いという認識があります。また、『apital(アピタル)』という医療サイトもあり、内視鏡における広告とマッチする部分も大きかったと思っています」(松井氏)
キャンペーンの主軸として新聞広告を選んだ理由は、「日付の指定ができる点」や「意識を持って、読んで、考えてもらえる媒体だから」という。
「意図した年齢層の方にもしっかりアプローチでき、内視鏡についてしっかり説明できる新聞が合っていたと思います」(進藤氏)
今後の広告展開については次のように語った。
「内視鏡検査を医師から薦められた時、『つらそうだから』『自分は大丈夫だろう』『自覚症状がないから』と検査を避けてしまう人を少しでも減らしたい。それが、がんの早期発見や早期治療につながります。そのためにも、内視鏡というものに関心を持ってもらい、早期発見の重要性や、内視鏡で治療や簡単な手術もできてしまうということも知ってもらうことが大事だと思っています。今は、まだ認知を広める段階であり、内視鏡の技術の進歩やメリットを伝えるところまで至っていない状況なので、これからも、こうした広告活動は継続していこうと思っています」(松井氏〉
2013年7月14日付 朝刊