多くの読者が自宅で購読する新聞。同じ面・スペースに複数回掲載する小型広告の効果も見逃せない。雪印メグミルクは、この6月から7月にかけて朝日新聞全国版朝刊の第2面に、100%フルーツジュース「ドール」の小型広告を計14回掲載した。この広告のねらいについて、営業統括部営業統括グループ宣伝担当課長の先曽(せんそ)稔氏に聞いた。
ビジネス層をターゲットとしたユーモラスなクリエーティブ
「飲料市場が活性化する夏場のタイミングをねらって、主にビジネス層をターゲットに展開しています」。ビジネスパーソンが目を通すであろう第2面(総合面)を選んだ。同社は2010年と11年にも、朝刊テレビ面で「メグミルク牛乳」「ナチュレ恵」「ドール」などの小型広告を複数回展開。小型広告の効果を高く評価している。
訴求ポイントは「100%フルーツジュースを飲んで得られるリフレッシュ感」。ビジネスパーソンが共感できたり、思わずくすっと笑ってしまったりするようなコピーをメーンにしたクリエーティブだ。ユーモラスな線画のイラストが、コピーをうまく引き立てている。
「『ドール』のブランド認知は高く、コンビニやスーパーの店頭でも頻繁に目にする、いわば定番商品です。商品についてあれこれ説明するよりも、定期的に目に触れる広告がフックとなってリマインドしてもらい、ミネラルウオーターやお茶を買う習慣のある人に、フルーツジュースも選択肢のひとつに入れてもらう。それが今回の広告キャンペーンのねらいです」(先曽氏)
2012年7月12日付 朝刊2面
シンプルなデザインながら「ドール」らしい色使いが、比較的堅いニュースの多い総合面でひときわ目立つ。この面には記事下に書籍広告があるが、こちらはモノクロ広告が多いため、カラーの小型広告はパッと目を引く力強さもある。「この面だからこそ、小型広告のポテンシャルがより生きた、という手ごたえがあります」
取引先の流通担当者などから「見ました」「今日も載ってましたね」という声が聞こえてきている、という。「1回や2回では見逃してしまっても、継続的に掲載されていると、多くの読者の意識に留まる。それも効果と見ています」と先曽氏。
さらに「何度も目に触れることで、ボディーブローのように効いているはず。そもそも飲料はその日の気分で買う商品が変わったりする。店頭で『ドール』を見たときに、『あ、広告が載ってたな』という感じで手にとってもらえれば」と期待を込める。このシリーズ広告がどの程度、売り上げに結び付いたかは、様々な調査データなどから推測するしかないが、長い目で見て費用対効果が高いのではないかと考えているという。
説得力、保存性、連続性――。新聞の特性を生かした広告スペースの可能性を追求する
新聞広告については、「基本的には説得媒体。文字はもちろん、写真やグラフなども使ってしっかりと説明ができ、さらに、保存もできるので、気になれば自社サイトにアクセスしてもらうなど、その先への広がりも期待できます」と先曽氏。今回の「ドール」のように、小さいスペースでも、「記事の中にレイアウトされることで、読者は記事を読む流れで広告のコピーまでしっかりと読む傾向が強いようにとらえています」と話す。
こうした新聞広告の様々な特性を把握した上で、先曽氏は次のように締めくくった。
「しっかりと説明して理解を求めたい商品ならば全15段や全7段といったスペースの広告、『ドール』のような定番ブランドについては存在を思い出してもらえるように小型のシリーズ広告……といった具合に、商品特性に合わせてどのようなスペースが最適かを見極め、より消費者に届き、響くようなコミュニケーションを今後も展開していく考えです」
全14回 朝刊小型広告シリーズ (全8デザイン)