オール朝日のクロスメディアを駆使して、モノづくりの極意を深く訴求

 シチズン時計の最高品質ブランド「ザ・シチズン」に、光発電時計としては世界初の「年差±5秒」を実現した、「エコ・ドライブモデル」が登場。このタイミングに合わせ、同社では、朝日新聞グループのクロスメディアを駆使したコミュニケーションを展開した。

「環境への配慮」と「精度の極み」を両立

山口裕子氏 山口裕子氏

 シチズン時計がその名を冠した最高品質ブランド「ザ・シチズン」。通常、クオーツ時計の精度が「月差±15秒」程度とされるなか、「年差±5秒」という最高の精度を実現してきたブランドだ。

 昨年6月、この「ザ・シチズン」に、光発電エコ・ドライブ搭載モデルが誕生。エコ・ドライブながら「年差±5秒」を実現した世界初のモデルとして、発売直後から時計ジャーナリストやプレス関係者の間では大きな話題になっていた。

 「その高い評価に手応えを感じながら、秋口以降、本格的にユーザーとコミュニケーションしていくにあたって、どんな手法で行くかを検討しているとき、朝日新聞出版から『AERA STYLE MAGAZINE』を使った広告展開の提案があった」と、同社国内宣伝部の山口裕子課長は振り返る。

 提案は、モノづくりの現場を訪ね、実際に作られるモノの魅力を掘り起こす連載タイアップ企画への出稿だった。

 「『AERA STYLE MAGAZINE』で、シチズンのモノづくりについてじっくり伝える企画にはたいへん興味がありました。ただ、新聞で広い層に訴求すると同時に、ウェブで動画を使い、興味喚起や理解促進を図ることも欠かせないと考えた。そこで、新聞、雑誌、ウェブをつなぐクロスメディア展開の提案をしていただけないか、とこちらから投げかけました」(山口氏)

AERA STYLE MAGAZINE Vol.13 (表紙)

AERA STYLE MAGAZINE Vol.13
(表紙)

 同社がクロスメディアにこだわった背景について、山口氏はこう説明する。

 「新聞広告は、営業活動を支援する役割を担うという側面があります。その一方で、ウェブを使って興味を喚起・理解を促進したり、自社サイトへ誘導をはかる施策が必要です」

 しかも今回はターゲットの問題もあった。『ザ・シチズン』は、これまで40代後半から60代といった層を中心に支持されてきたが、エコ・ドライブモデル発売を機に、30代を積極的に取り込むことを同社は狙っていたのだ。「30代は時計に関する情報を、主にウェブから得ているというデータもあった。新聞や雑誌などのマス媒体だけでなく、そこからウェブへとつないでいく必要があると考えました」(山口氏)。

 

熱烈なファンがフェイスブックにコメント

 この要望を受ける形で、『AERA STYLE MAGAZINE』、ダイジェストのタブロイド版(エリア広告特集)、朝日新聞、アサヒ・コムを連動させたクロスメディア展開が実施されることになった。

AERA STYLE MAGAZINE Vol.13

「MADE in NIPPON」(P90.91) 「MADE in NIPPON」(P90.91)
「ニッポンの社長」(P84・85) 「ニッポンの社長」(P84・85)

※画像は拡大します。

 展開の核となったのは、11月21日発売の『AERA STYLE MAGAZINE』。同誌創刊からの人気企画である「MADE in NIPPON ~モノづくりの物語~」でタイアップページを展開した。まず、シチズンの工場のある長野県飯田市を訪ね、モノづくりを培った風土や町並みを取材。次に、厚生労働省から「現代の名工」と表彰されたスーパーマイスターと、開発担当者の二人を紹介し、最後に、新製品の紹介に落とし込んだ。

 朝日新聞紙上においては、このコンテンツを、全5段で3回連載に再編集。モノづくりへのこだわりを語る技術者インタビューを掲げ、商品広告への誘導をはかった。また、タブロイド判でもこのコンテンツのエッセンスを発信した。

 一方、アサヒ・コムでは、技術者インタビューを動画で配信したほか、シチズン時計のサイトへと積極的な誘導を展開。さらには『AERA STYLE MAGAZINE』の同じ号のコーナー「ニッポンの社長」に、同社の海野幹夫社長が登場。6ページにわたるインタビューで、先達の技術を継承し、磨き上げ、次世代に引き継いでいく企業のメッセージを伝えた。

 「マガジンの記事が非常に満足のいくしっかりしたものになっていたので、どの媒体に向けて出しても読み応えのあるコンテンツとなり、相乗効果を上げることができました。今回の広告展開に対する社内の注目度も高く、企画が動き始めた夏以降は、営業担当の士気を高めることにも一役買っていたようです」と、山口氏は評価する。

 もうひとつ特筆すべきこととして、今回、同社としては初めて、フェイスブックを使っての告知を積極的に行ったことがあげられる。「『マガジンの取材で、飯田市のシチズン平和時計本社工場を訪ねました』というところから、タブロイド発行、マガジン発売、新聞広告出稿の告知をはじめとする『ザ・シチズン』関連の情報を、フェイスブック上で切れ目なく流し続けたところ、質の高いコメントがたくさん寄せられました。『ザ・シチズン』には熱烈なファンが多いこと、そのファンの方が何に興味を持ち、どんな情報をほしがっているのかもつかむことができました」(山口氏)

 また、新聞広告出稿後は、同社のウェブサイトへアクセス数はもちろん、お客様相談室へ電話問い合わせ件数も増加したという。

 「今回のクロスメディア展開は、結果的には直接売りに結び付きました。大量生産できる商品ではないため、現在店頭で商品が不足してしまい、うれしい悲鳴をあげている状況です。単発ではなくメディアの役割をきちんと考えて、トータルに連動させていくことは、今後もやっていきたいと考えています」

AERA STYLE MAGAZINE タブロイド版(エリア広告特集)

AERA STYLE MAGAZINE タブロイド版(P9) (P9)
AERA STYLE MAGAZINE タブロイド版(P8) (P8)
AERA STYLE MAGAZINE タブロイド版(表紙) (表紙)

新聞広告 全5段×3回

2011年12月1日付 朝刊 シチズン 2011年12月1日付 朝刊
2011年11月30日付 朝刊 シチズン 2011年11月30日付 朝刊
2011年11月29日付 朝刊 シチズン 2011年11月29日付 朝刊