「緑黄色野菜が、ギュッとつまったカリカリ。トロリとあふれだすクリームのおいしさ」。食欲をそそるこのコピーが指すものは……。毛並みの美しいブリティッシュブルーのビジュアルを見れば一目瞭然(りょうぜん)、キャットフードである。マースジャパンが新発売した「シーバ®デュオプラス™」シリーズを紹介した新聞広告だ。
目的は、認知の向上と試食機会の創出
キャットフードは主に「カルカン® ウィスカス®」「シーバ®」の2大ブランドを持つ同社。手頃感があり幅広いターゲットに向けた商品展開の「カルカン」に対し、グルメ嗜好(しこう)が強く、付加価値の高い製品を求める飼い主のニーズに対応するのが「シーバ」である。
「シーバのマーケティング戦略の目的は、認知の向上と試食機会の創出です。つまり、特別なおいしさを知ってもらい、サンプリングなどを通じ、愛猫たちがいかに喜んで食べるかを実感していただく。さらに今回は、新商品の特長である機能性を訴求しました」と話すのは、ペットケアマーケティング・シーバブランドマネージャーの帯金さやか氏。
キャンペーンで打ち出した商品は、おなかにたまりやすい毛玉を自然にコントロールする「緑黄色野菜のヘアボールクリア」と、口臭ケアに配慮した「天然緑茶のオーラルケア」の2商品。帯金氏によれば、今は愛猫を屋外に出さずに“家ネコ”として飼い、家族同様の親密な関係を大事にする飼い主が増えており、より健康に配慮した商品への要望が高まっているという。なお、毛玉対策のキャットフードは従来医療に寄った商品が多く、自然素材を使い美味しさを保ちながら機能を付加したグルメ商品は画期的とのこと。また、オーラルケア機能はドッグフードでは一般的だが、キャットフードでは珍しく、これも新規性の高い商品だという。
土曜掲載で、週末の購買に期待
「広告は、機能性をうたいつつ、ブランドがこだわるおいしさも損なわれていないことを明快に伝えるクリエーティブを心がけました。飼い主も食指を動かされるようなコピー、あたたかみのある書体、ナチュラルな野菜や茶葉のイラストなどを通じて商品の世界観を表現できたのではないかと思います」。
朝日新聞を活用した理由については、「比較的富裕層で、ワンランク上のプレミアム感を求める読者が多いイメージがあり、商品の属性にフィットすると思いました。また、業界では、ペットフードを選ぶ人の8割が女性だと言われており、新聞読者に主婦層が多いことも魅力でした」。
掲載は11月だけで、全15段を3回、全5段を2回出稿。シリーズ展開により、リマインド効果をねらった。さらに、主に土曜日の朝刊に照準を合わせ、週末にホームセンターやスーパーマーケットに買い物に出かける消費者の心理に働きかけた。
「新聞広告は明確に掲載日がわかるので、販売店のチラシとの連動も考えられます。そういう意味で、対流通の営業ツールとしても活用できました」。各紙面では、オーラルケアとシーバ・デュオがセットになったスペシャルパックをプレゼントするという「1万人サンプリングキャンペーン」を告知。応募サイトへと誘導した。
「ネット上でも応募の窓口を設けましたが、新商品だったので、しっかり特長を説明し興味を獲得したいと考えていたので、その役割は紙メディアである新聞広告に期待しました。応募総数は定数を超え、キャンペーンの成功に満足しています。今後も認知の獲得と試食機会の創出のためのコミュニケーションを続けていきたいですね」(帯金氏)