4原色の衝撃!センセーショナルなデビューに新聞を活用

 カラーテレビの本放送が始まって今年で50年。この節目に、家電大手のシャープが市場に投入した「AQUOSクアトロン」は、世界で初めて4原色技術を採用した液晶テレビだ。「赤・緑・青」の従来の3原色に、新たに「黄色」を加えることで豊かな色表現が可能になり、次世代の液晶テレビの新機軸として話題をさらっている。

「広告号外」(エリア広告特集)のマルチ活用で、消費者の意識を“橋渡し”

シャープ 伊藤正裕氏 伊藤正裕氏

 テレビ界の“革命”ともいえる、センセーショナルな製品の発売とあって「ふさわしいキャンペーン手法を模索していました」と語るのは、同社ブランド戦略推進本部 宣伝部長の伊藤正裕氏。テレビCMと並び、キャンペーンの大きな軸の一つに据えたのが、朝日新聞の「広告号外」(エリア広告特集)を用いた展開だ。

 地上波デジタル化への完全移行を来年に控え、テレビに対する消費者の関心は高まっている。「特にテレビはその目で確かめてから購入されるお客様が大半です」(伊藤氏)というように、カギになるのは「店頭」だ。4原色液晶技術を採用した「クアトロン」の豊かな色表現を直接見て確かめてほしいとの思いから、テレビCMでも店頭に導くアプローチに注力している。「黄色を加えることで、エメラルドグリーンの海までが鮮やかに表現できるその秘密など、訴求したいポイントはたくさんあります。しかしそれを広告だけで伝達するのは、限界があります。そこで朝日新聞の広告号外には、マス広告と店頭とを結びつける『ブリッジ(橋渡し)』的な役割を担ってもらいました」

 大型のブランケット判4ページ構成の広告号外(エリア広告特集)は、「朝日新聞」という題字の下、「4原色テレビ出現!」の見出しが躍る一面に続き、中面見開きで、吉永小百合さんと、クアトロンに美しく映し出された風神雷神図をワイドにビジュアル展開。終面では3Dグラスをかけた本木雅弘さんのアップが「クアトロン3D」の発売を予告している。

 テレビCMに匹敵するパワフルなインパクトと、スラスラと読める適度な情報量を併せ持つ構成が、新聞記事のようでもあり、カタログ広告のようでもある。

 この広告号外(エリア広告特集)は、首都圏と大阪管内の7月3日付朝刊に約250万部が折り込まれた。さらに同日、東京(池袋・有楽町)と大阪(難波・心斎橋)の街頭でも、同じ紙面が4千部、文字通りシャープの広告号外として道行く人々に配布され、その上、約50万部が全国の主要な家電量販店の店頭にも並べられた。

 「購入を決定する店頭に、新聞に入っていた広告号外と同じものが並んでいれば、『あ、あれか』と、潜在化していた情報も自然と意識の上によみがえるはず」(伊藤氏)
マス広告と店頭とをつなぐ「ブリッジ」的な役割とは、まさにこのことであろう。

※画像は拡大します。

2010年7月3日付 エリア広告特集

4面

2-3面

1面

「静」的な新聞メディアを、「動」的に変える号外展開

 「一方で、新聞の号外には、街頭で配るという行為がもたらす『イベント性』も見逃せません。これをデビューに使わない手はない、との思いから、広告号外として各所で1千部ずつ配布しました」と伊藤氏。

 号外=江戸時代の「かわら版」=話題性があるもの、という感覚が日本人の中に根付いているのでは、という指摘も興味深い。「紙面を広げてもらうのを待つのではなく、号外として配布することで、こちらから『読んでください』と働きかけられる機動性のあるメディアにもなり得ます」と、新聞特有の手法である、号外展開のねらいを振り返る。

 「話題を喚起する街頭での号外配布、家庭をカバーする宅配、そして興味を持って来店された方へアプローチする店頭置き。これらをシンクロさせることで、3つそれぞれに『ブリッジ』をかけることができ、効果が増幅します。Web連動も含めて、本当のクロスメディアが実現できたと考えています。さらに、ニュース性を連想させる『朝日新聞』の題字が入っていることも、注目を集める一つの要因だったのではないでしょうか。別刷りであることは、それだけで特別感がありますし。見方を変えれば、朝日新聞に当社の販促ツールを刷っていただいた、とも言えますし、あるいは朝日新聞に当社のカタログが折り込まれた、とも言い換えられますね」

 テレビCMで興味を持った…、広告号外を見て「4原色」を確認したいと店頭に訪れた…など、キャンペーンに対する確かな反響も大きい。テレビの歴史を変える製品のスタートを飾るにふさわしい有意義な取り組みだった、と「広告号外」を用いてのプロモーションに手ごたえを感じている。

 「テレビを液晶に変えたのも、4原色という新機軸を打ち出したのも、オンリーワンでなければ存在意義がない、というシャープ独自のスピリットが原点です。今回のようなメディア活用、そしてクリエーティブを含めた宣伝手法もそうありたい、と常に考えています」(伊藤氏)