環境をテーマに、新しいライフスタイルを提案する雑誌『ソトコト』。これまで、スローフード、スローライフ、ロハスなどのキーワードを世の中に紹介してきたが、創刊10周年を記念し、「スマイル アフリカ プロジェクト」を立ち上げた。
「子どもたちに笑顔のシューズを贈ろう」を合言葉に、子どもたちのサイズが合わなくなったシューズを回収し、裸足での生活を余儀なくされている途上国の子どもたちに寄贈する同プロジェクトは、シューズ回収を通して、モノを大切にする気持ちと環境問題への意識を喚起していくのが狙いだ。
5月24日には、ソトコトサファリマラソンをケニアで開催。フロントランナーに高橋尚子さんを迎え、高橋さんがアフリカへシューズを届け、子どもたちと一緒にマラソン大会に参加する模様は5月19日と6月5日の朝日新聞朝刊で紹介されたほか、テレビ番組も放送された。
マラソン好きは環境意識が高い
「スマイル アフリカ プロジェクト」を立ち上げ、ソトコトサファリマラソンを開催した経緯について『ソトコト』編集長 小黒一三氏は次のように語る。
「『スマイル アフリカ プロジェクト』は、『ソトコト』の創刊10周年を記念するプロジェクトとして立ち上げました。実は、当社はケニアにムパタ・サファリ・クラブというリゾートホテルを経営しています。ケニアのサファリは、空気が乾いていて、日本とは違ったサラサラした雨が降ります。なにより大気が気持ちよい。そんな環境があったのでホテルを建てたのです」
「日本人はとてもマラソンが好き。ハワイのホノルルマラソンもたくさんの日本人ランナーが走るといいます。それなら、ケニアで走ってもらい、環境の良さを知ってもらえたら、と思ったのが発端です。マラソンを走る人たちは環境に関心の高い人が多いので、ケニアでマラソンを開催することで、アフリカに興味を持つ人が増えればよいと思い、サファリマラソンを企画しました」
アフリカでは裸足やそれに近い環境で生活している子どもたちがいる。マラソンランナーは、足を守るシューズの大切さを理解している人が多いと考え、市民マラソンや各地の学校に呼びかけて、使わなくなった子ども用のシューズを回収し、高橋尚子さんとともにアフリカの子どもたちに届けた。「子どもたちが目を輝かせて喜んでくれて、やってよかったと思えた」と小黒氏はいう。
『ソトコト』のエコ&カルチャー情報を紹介するコーナー「エスケープルート」でもアフリカを重点的に取り上げている。日本人からは遠い土地と思われがちなアフリカだが、2010年にはサッカーのワールドカップが開催されることもあり、これから関心が高まると予想している。
「今は水すらお店で買う時代。そのうち空気にまでお金を払うようになるかもしれません。だからこそ、ケニアのきれいな空気を感じてもらうプロジェクトをつくりたかったのです。今回のサファリマラソンは、主に現地の方と現地在住の日本人の方に参加していただきました。次回はもっと日本からの参加者が増えるといいですね」
今回掲載された新聞広告については、こう話す。
「メッセージ性の高い広告だったため、たくさんの人に気づいていただいたようです。高橋尚子さんと『ソトコト』が組んだ意外性や、アフリカ大陸を靴でイメージしたクリエーティブもよかったと思います」
また、『ソトコト』が開催するロハスのイベントに参加してくれたお客さんに購読している新聞を聞くと、朝日新聞読者が多いという。
「朝日新聞の読者は環境に興味を持っている人が多いのかもしれませんね」と小黒氏は語った。
環境を10年間リードしてきた雑誌『ソトコト』。近年、環境に配慮しようという取り組みや製品が、世の中に浸透してきており、時代が『ソトコト』に追いついてきたと言えそうだ。小黒氏に今後の展開について聞くと、「『ソトコト』はライフスタイルマガジンです。環境の枠にとどまらず常に時代の先端をとらえて、新しいライフスタイルを提案していきたいですね」と結んだ。