コスト削減や生産性向上を支援するキャンペーン

苦境にあるときこそのIT投資の有効性を訴求

日下部厚樹氏 日下部厚樹氏

 金融危機を発端に突入した世界同時不況。その波が待ったなしに押し寄せ、これからをどう生き抜くか悩む企業も多い。マイクロソフトはそうした状況のなか、戦略的なIT投資によって経費を削減するとともに、社員の生産性向上を支援するキャンペーンとして「Save Money.」を立ち上げ、昨年12月と今年1月に朝日新聞朝刊に全7段広告を掲載した。

 メーンコピーとなっているのは、「Save Money. 苦境をのりきる、攻めのITを。」。厳しい時代にあるからこそ攻めの姿勢になろうというメッセージは、読者を強くひきつける。キャンペーンの経緯や背景について、同社セントラル マーケティング本部 宣伝部 リード アドバタイジングマネージャの日下部厚樹氏はこう話す。

 「今回のこのキャンペーンは日本独自の展開ですが、『Save Money.』というメッセージは世界共通で発信しています。景気が冷え込む中、お客様のコスト削減や予算の効率化を、我々のIT技術や製品で貢献していこうと、本社(米国)のCOOが宣言したのがそもそものきっかけです」

 日本企業の生産性は、工場などについては概して高く、「世界のベンチマーク」と目される企業も多い。その一方で、事務職の生産性は、他の先進国と比べて低いと言われる。「そこで、こういう不況下ですが、単に今までかかっていたコストを削減するだけではなく、同時に生産性を高める取り組みをしませんか、とお伝えするのが狙いです」

ソリューションを具体的に提示

2008年 12/18 朝刊、1/8 朝刊

2008年12年18日付 朝刊
2009年1月8日付 朝刊

 「即効性ある戦略的なソリューションを、私たちはご用意しています。」というボディーコピーの下に、IT投資がもたらす6つのソリューションが掲げられている。そのうちの一つ、「Web会議で出張費を、IP電話で通信コストを削減」について、日下部氏は次のように解説する。

 「電話会議やウェブ会議などのコミュニケーション基盤を統合化することによって、大きなコスト削減が図れます。出張費を削減するだけでなく、時間もセーブできます。『メール送りっぱなし』『ファクス送りっぱなし』『電話してもつかまらない』というコミュニケーションを、ITによりもっとリッチなものにすることで生産性を上げられるのです。実際、弊社でも統合コミュニケーション(UC)を導入 したことで、1年間で約5億円ものコストを削減することができました」

 そのほか「ムダなシステム維持、管理費を大幅減」「サーバーのコストやスペースを節約」「システムの運用コストを削減」「ムリとムダを顕在化し、時間とコストを節約」「ソフトウェア購入、管理費用の削減」といった項目が並ぶ。

 「我々の多岐にわたる製品を重層的に組み合わせることで、これらが実現できます。ITをテコにすることで会社の競争力や生産性を強化できるのです。広告紙面では、イメージの訴求に終わらないよう、ソリューションを具体的に提示し、何ができるかを表現しました。厳しい経済環境を契機に、ITに投資する意味をお客様に見いだしていただければと思います」(日下部氏)

直球でタイムリーにメッセージを届ける

2/27 朝刊 2009年2月27日付 朝刊

 広告ビジュアルは、メッセージがまっすぐに届くように、文字だけのシンプルな構成に徹した。マイクロソフトの4色のコーポレートカラーのうちの1色であるオレンジ色を全面に配した紙面が目を引く。キャンペーンは新聞広告を中心に据え、ビ ジネス誌、オンライン広告などでも展開した。

 「新聞は信頼性が高いうえ、読者が『真摯(しんし)態度でメッセージを受け取ろう』という姿勢で読む媒体なので、はずすことができませんでした。また、ターゲットとなるホワイトカラー層でも、IT・システム関連の方だけでなく、経営者、各部門長および役職者といった幅広い層にも見ていただくために、読者特性が合致する朝日新聞を選びました」と日下部氏は説明する。

 今回のキャンペーンは、実施の決定から朝日新聞での広告掲載まで約1カ月と、短期間で進められた。

 「経営環境・市場環境の変化によって、経営方針が短期間に変わり、それに伴いITシステムも変わらざるをえない今、こういったキャンペーンはタイムリーに展開すべきだと考えました。我々はお客様に『俊敏性の大切さ』をお伝えしていますが、まさにこのキャンペーンのスピーディーさでそのことが示せたと思います」(日下部氏)

 またマイクロソフトは、64社の「Save Money.ソリューション推進パートナー」とともに、キャンペーンを推進していく広告を、2月27日付東京本社版全 5段(大阪本社版は2月23日付)に掲載。高品質で最適なソリューションを、パートナーとともに力を合わせて提供していることを伝えている。今後の同社の動向から目が離せない。

(辻川)