ユーザーの目線を通して製品の魅力を伝える
ドイツで生まれたポット型浄水器のトップブランド、ブリタ。創業時の「大切な人に上質の水を」という精神は今も変わらず、考え抜かれた製品づくりで世界中から愛されている。2008年、ブリタジャパンは日本向けに開発した新製品「ナヴェリア」を発売し、同年10月5日朝日新聞朝刊別刷りbe、12月11日夕刊に広告を掲載した。
記事体広告で製品理解を促進
製品開発について同社代表取締役社長のオンノ・ヤーリンク氏は次のように語る。「2005年に日本向けに開発した製品『リクエリ』を発売しましたが、その後、さらに進化させた製品を投入したいと考えていました。そこで2006年から日本オリジナルモデルとして開発してきたのが『ナヴェリア』です」
ブリタはかつて、ヨーロッパで販売している製品をそのまま日本に輸入し、販売していた。しかし、ビルトインタイプが多く、大きさや規格がほぼ同一のヨーロッパの冷蔵庫に比べ、日本の冷蔵庫はメーカーや製品によって大きさ、ドアポケットの形状がかなり違うことがわかった。そこで、日本のどの冷蔵庫でも使いやすい製品を開発することにした。ドイツ本国のデザイナーやブリタ本社の開発担当者と共同で、冷蔵庫調査、消費者インタビューを重ねた。こうして、日本のキッチン・冷蔵庫のサイズにあうデザインを追求してたどり着いたのが、ナヴェリアの特徴である、ひし形のデザインであった。
「四角い形をしていた方が一番スペースを取らないように思えます。しかし、家庭の冷蔵庫には様々な形の瓶やチューブが収容されており、ドアポケットにデッドスペースをつくらず、すっきりコンパクトに収めるには、ひし形のデザインが最適だったのです。この特徴的なデザインで2008年のグッドデザイン賞を受賞することができました」と語る。
10月5日に掲載された広告では、改めてブリタの企業理念とナヴェリアの開発エピソードを紙面で紹介するとともに、フードジャーナリスト・エッセイストの平松洋子さんがブリタの魅力を語っている。平松さんの起用についてヤーリンク氏はこう話す。「平松さんは、もともと当社のポット型浄水器のユーザーであり、当社のベネフィットをとても理解されている方でした。そこで、平松さんの目線を通して読者の皆さんに当社製品の良さを伝えていただこうと考えました。また、食についての専門家なので読者への安心感も醸成できると考えました」
一方、12月11日の広告紙面では、料理研究家のコウケンテツさんに、ナヴェリアの使用感を語ってもらった。若い世代に人気の料理研究家であるコウケンテツさんを起用することで、まだブリタを知らない潜在顧客の興味をひく狙いがあるという。
新聞のニュース性を広告に生かす
新聞広告については「新聞はニュースを伝えるメディアです。新製品を発表するというニュースを広告するには最適なメディアであると考えました。それから、全国の読者にリーチでき、インパクトが大きいメディアであることも新聞の特長です。また、広告では当社ブランドの認知を上げることも重要ですが、それに加えて製品の扱い方や、特長、背景なども細かく消費者に伝えていきたい。そのためには、テレビCMでは時間が短すぎてすべてを伝えきれないので、新聞を選びました」と語る。「当社のポット型浄水器購入層の8割は女性です。朝日新聞の週末の別刷りbeは女性の読者も多く、オンターゲットなメディアだということも広告掲載を決めた理由でした」と媒体の特性も考慮したという。
ブリタでは、製品の購入者に抽選で郷土鍋の食材セットが当たるキャンペーンをおこなったが、広告を掲載後、応募が前年に比べて4割増えたという。また、広告掲載から3週間後まで問い合わせの電話を受けたことから「新聞広告の効果は掲載当日だけで終わらず、保存して読まれるメディアであることも今回のキャンペーンで認識しました」と、ヤーリンク氏は語る。
今後はどのように広告展開するのだろうか。「ブリタのユーザーは毎年増えています。手入れも簡単で、扱いやすい浄水器なので、日本の方に受け入れられたのでしょう。冷蔵庫にいれておくだけでおいしくまろやかな味を楽しむことができますから。しかし、もっとたくさんの人に当社の製品を使っていただけるよう、今後も継続して広告を展開していきたいと思います。そのためには、さらなるブランドの認知向上と、その次のステップとして、ブリタの製品を消費者のみなさまに理解していただく活動をしていきたいですね」と結んだ。
(辻)