神戸・須磨海岸のマンション海のある暮らしの魅力を訴求
神戸市須磨区に建設・分譲中のタワーマンション「須磨コーストタワー」(伊藤忠都市開発、MID都市開発、オリックス不動産の3社共同開発)の広告が、昨年9月19日付、10月4日付の朝日新聞大阪本社版朝刊に掲載された。同時に、朝日新聞社の“ビートルズ世代”にむけたウェブサイト「どらく」でも広告展開した。
新聞とウェブいずれも、大阪府出身の女優・田丸麻紀さんをキャラクターとして起用。須磨の暮らしの魅力を文字によって訴求し、読者の物件へのあこがれを喚起することを狙って、新聞広告は記事体を中心とした構成で展開。「どらく」にもコラムを掲載した。「どらく」では動画も見られるようにし、約1カ月間にわたって掲出。新聞とウェブによって海辺のライフスタイルを立体的に伝えることに成功した。
今回の広告の意図や手ごたえについて、伊藤忠都市開発大阪開発事業部大阪住宅事業課の吉本圭一氏に聞いた。
スペック紹介からイメージ訴求へ
2008年9月19日付 朝刊
大阪本社版
これまでのマンションの広告には新聞やインターネットのほかチラシ、DMなどを使い、間取りや機能性、価格情報を訴求してきたが、従来の広告展開にはない方策を求め、最近、新しい物件広告のあり方を模索していた。
「おおむねスペックが横並びとなっている時代にもかかわらず、広告は従来通り、間取りやスペックの紹介にとどまるものが中心でした。これからは、マンションの住環境によってどのような暮らしがあるのかをいかにイメージ訴求できるかが、決め手の大きな要素のひとつになってきます。この視点を踏まえた広告展開が必要です」と吉本氏。
また、インターネットで物件情報が検索されることが増えたが、購入検討者の過度なウェブ依存度に危機感を募らせているという。
「最近多くのお客様が、モデルルームへの来場前に、ウェブから得た情報で物件に対する評価や判断をしてしまいます。しかし、ウェブだけでは物件について紹介できることに限界もあります。お客様が情報収集される過程で、クロスメディアによる継続的に対話できる仕組みを作りたかった」と語る。
各媒体で得た情報を、ウェブでより具体的なものにできる機会を提供することで、情報を探す人との意思疎通を図ることができないかと考えていたところに、今回の企画提案があったという。
「海」をテーマに統一感ある展開
2008年10月4日付 朝刊
大阪本社版
朝日新聞と「どらく」を選んだ決め手となったのは、それらのイメージの統一感にあったという。
「『どらく』はライフスタイルをテーマにしている点や、しっかりした記事で構成されているところに新聞と共通する朝日らしさを感じます。また、『どらく』がターゲットとするビートルズ世代が、当物件の想定顧客とマッチしたことも理由の一つです」
今回の「須磨コーストタワー」の広告では、日本屈指の自然海岸沿いという立地条件に着目。海と空が広がる絶景を眺めながら暮らす生活を伝えた。新聞広告の記事部分ではスペック情報を一切入れず、ひたすら海の魅力を語り、写真は田丸さんが海を背景にバルコニーでほほ笑む姿をメーンカットに配した。2回目の掲載では、1回目の写真とほぼ同じ位置で撮影した夕景の写真を載せ、2回の掲載を通して、朝から夜へ刻々と風景を変える海辺の暮らしを表現している。
ウェブには、須磨の街をルポしたコンテンツのほか、紙面と同じ風景を撮影した動画によって、新聞広告を見た人が膨らませる想像を確かなものへと裏づけた。
広告掲載、コラムで須磨の
暮らしの魅力を伝えた
「自然環境にある物件を好むお客様は、自分なりのライフスタイルイメージを持っています。新聞とウェブに統一感を持たせたことで、伝えたいメッセージがぶれることなく届きました。紙面で見たのと同じ風景を動画で仮想体験し、自分なりのイメージと合致したと感じたお客様に、実際にモデルルームへ足を運んでいただき、成約にもつながりました」と吉本氏。新聞に全15段カラー広告を単体で打つ場合よりもモデルルーム来場者は2倍に増え、順調に契約につながったと手ごたえを語る。
今後もライフスタイルを訴求する不動産広告展開を考えたいと吉本氏。「これまでの広告は押しつけの情報でした。これからは納得してもらえる情報を提供しなければなりません。住んだ時の生活をイメージできるかどうかがカギになります。しかし、今回のように特別な要素を持つ物件ばかりではありません。あらゆる物件においてどんな世界観を訴求できるのか、検討していく必要があります」と結んだ。