絶好のタイミングをとらえ、企業姿勢をアピール

未来への思いと技術力を背景に堂々と語る地球とクルマとの共生

 日曜日の落ち着いた読者の気分にフィットする、澄み渡る青空とすがすがしい水と緑の風景。その前に置かれた、地球の未来へと発進の時を待つ一台の電気自動車。北海道洞爺湖サミットの開催を翌日に控えた7月6日、三菱自動車は環境テーマを主軸としたこれからのクルマづくりをメッセージする二連版30段広告を掲載。新しいコミュニケーションワード「Drive@earth(ドライブ・アット・アース)」をお披露目すると共に、今後の具体的な新車発表・技術開発計画を表明した。

リテラシーの高い新聞読者に発信

堀 敬介氏 堀 敬介氏

 2005年1月、三菱自動車は信頼の回復と収益改善を目標とする「三菱自動車再生計画」を策定。お客様第一のものづくりへの回帰に社員一丸で取り組み、07年度には黒字体質が定着、再生を果たすことができた。また同社が長年注力してきた電気自動車においても、リチウムイオン電池の急速な改良などにより世界投入の計画が具体化。「地球とクルマの未来を拓(ひら)く三菱自動車の決意を、堂々と伝える時が訪れた」と、商品戦略本部広告部長の堀敬介氏は語る。

 「今年2月、三菱自動車は中期経営計画『ステップアップ 2010』を新しく発表しましたが、その中でも環境への貢献は大きな柱となっています。北海道洞爺湖サミットの時期に合わせて、新聞広告で強いメッセージを打ち出そうという計画は早い段階からありました。また電気自動車の普及には、充電インフラの整備など、社会全体の気づきが必要です。今回の広告では社員や販売店、株主の皆さん、官庁や環境関連事業に携わる方々など、環境リテラシーの高いステークホルダーの方々を特に意識しています」

 紙面中央に大きな文字で置かれた「Drive@earth」は、三菱自動車の企業姿勢を示す新しいコミュニケーションワードだ。「地球をドメインにして、クルマ本来の走る歓(よろこ)びを伝え、同時に地球環境に配慮したクルマづくりを進めるこれからの挑戦を世界に向けて表現したもの」と、堀氏は説明する。

 ボディーコピーでは、09年からアフリカから南米に舞台を移すダカールラリー制覇を目標とした、新ディーゼルエンジンを搭載する「レーシングランサー」での参戦計画も紹介された。i MiEV(アイ ミーブ)の世界投入をはじめとする環境テーマのみならず、走りと環境を両立する新次元のクルマづくりが「Drive@earth」に込めた思いだ。

全面広告と連動し小型広告を連日掲載

2008年7月6日付 朝刊

 また、この30段広告の掲載の翌日から4日間にわたって、同社が北海道洞爺湖サミットにi MiEVを10台提供した旨を伝える小型広告を連日掲載。環境関連のニュースが躍るこの時期の紙面の中で、話題としてもふさわしいものとなった。「赤色を使ったデザインは読者の目にとまりやすく、30段広告とのよい相乗効果が生まれました」と堀氏は新聞媒体の特性をとらえた使い方を評価する。

 子供たちに将来残したい地球の姿をイメージした美しい自然の中に置くクルマとしては、パジェロのような既存の量産車を広告の素材にすることも検討された。しかし、「環境のトップランナーとして走る三菱自動車の未来像を示したい」という思いから、i MiEVを使うことが制作スタッフ全員の意見として一致したという。

 子供たちに将来残したい地球の姿をイメージした美しい自然の中に置くクルマとしては、パジェロのような既存の量産車を広告の素材にすることも検討された。しかし、「環境のトップランナーとして走る三菱自動車の未来像を示したい」という思いから、i MiEVを使うことが制作スタッフ全員の意見として一致したという。

 大きなテーマ性をもった企業広告とはいえ、今回のキャンペーンのように販売に直接結びつく話題を一切載せないとなると、社内から異論が出てもおかしくはない。「今回は全くそれがなく、制作担当者としては非常にありがたいことでした」(堀氏)。掲載後の販売店からの反響もよく、一般のお客様からも「いつからi MiEVは発売か」といった問い合わせが多数寄せられた。

 「お客様との信頼関係の回復に存亡を賭け、社内が結束したこと。そして会社が元気を取り戻し、社員やその家族が再び夢を抱けるようになったこと。制作の責任者として非常にスムーズに仕事をさせてもらえた今回のキャンペーンを通じて、そんな前向きな光を実感しています。今後はDrive@earthに込めた思いを、より具体的な取り組みの形として、世界で伝えていきたいと思っています」

2008年7月7日付 朝刊

 1面
 2面