新コミュニケーション「ドコモのあなたに、Answer を。」を開始

新ブランドスローガンを掲げ同時に社名ロゴを刷新

樺沢正人氏 樺沢正人氏

 競争がますます激化する携帯電話マーケット。話題の機種や新サービスに注目が集まる中、NTTドコモは、新たなコミュニケーション戦略を打ち出した。その布石は、昨年5月にスタートし、話題を呼んだ「DoCoMo2.0」からすでに始まっていた。NTTドコモ宣伝部宣伝担当部長の樺沢正人氏は、こう説明する。

 「国内の携帯電話契約数はすでに1億件を超え、飽和状態になったと見られます。また、通信キャリアではない新たなプレーヤーも次々と登場し、お客様のニーズも多様化してきました。業界全体が大きく変わってきている中、今までと同じ土俵で同じ戦い方をしていては勝負にならない── 。ステージをこれまでとは変え、お客様に新しい価値を提供していくためにも、もう一度、ドコモブランドの価値を足元から見直す必要があると考えました」

一人ひとりの声に「アンサー」する

 「DoCoMo2.0」では、新しいサービスや価値を表現した、斬新で挑戦的なコミュニケーションが話題を呼んだ。社内では当時、コミュニケーション展開と並行し、ドコモブランドの再構築に向け、いくつものプロジェクトチームが組まれた。それから約1年間、数多くの議論を重ねてきたという 。

 「ドコモならではの強みは何かを基本に戻って考えたところ、5300万人いる既存のお客様だ、という結論にたどりつきました」と樺沢氏。さらにこう続ける。「確実な基盤とビジョンのもとに提供される機能やサービスを、お客様一人ひとりとのコンタクトポイントである携帯電話を通じ、手のひらで実感してもらいたい。そんな思いをこめ、『手のひらに、明日をのせて』というブランドスローガンを打ち出しました」

 新たなブランドスローガンのもと、コミュニケーションの中心に据えたのが「アンサー」というキーワードだ。

 同社のコールセンターには、年間約2700万件の問い合わせや意見、要望が寄せられる。まさにリアルな「お客様一人ひとりの声」だ。「アンサー」とは、お客様の声や期待に具体的な行動でしっかりこたえていくという新しいドコモの象徴だ。たとえば「A.001 長いおつきあい」は、「長くドコモを使っているからこそのお得な特典はないか」というお客様の声にこたえ、利用金額に応じてポイント獲得率が決められた従来の方式に加え、利用期間に応じてもポイント獲得率がアップする仕組みに改善したという「アンサー」だ。

ロゴも一新ドコモらしさを表現

 ウェブサイトをオープンした5月10日には、PCからのページビューで41万件超、iモードのページビューも19万件超と大きな反響を呼んだ。6月16日現在、サイトには55のアンサーが並ぶ。「だれにでも当てはまるアンサーばかりではありませんが、お客様がそれぞれ持っている価値観に目を向けることこそが、血の通ったコミュニケーションにつながる」と樺沢氏は手応えを見せる。より多くの顧客に納得し、共感してもらうため、アンサーの内容は吟味を重ねているという。

 マスメディアを使ったコミュニケーションは、ドコモの携帯電話の象徴として、ドコモが誕生した1982年生まれの若手実力派女優、成海璃子さんを起用。ほかに、松山ケンイチさん、爆笑問題など、提供するサービスごとに旬のキャストをラインアップした。いずれもコミュニケーションは一貫して「アンサー」を軸に展開している。

2008年5月8日付 朝刊

 朝日新聞では、5月8日付朝刊の「ブランド宣言編」を皮切りに、様々なサービスやドコモの取り組みについてのアンサー広告を続けている。樺沢氏は「新しいコミュニケーション展開では、新聞広告の利用が増えるだろう」と語る。「イメージだけではなく、理解してもらうためには、きちんと語っていかなければ。しっかりとメッセージを読んでもらうことのできる新聞の重要性は、さらに高まっていくものと考えています」

 全国のドコモが一社化するのを機に、会社設立以来初めて社名ロゴもリニューアル。カラーは赤で、これまでの大文字から小文字表記に。全体的に丸っぽい印象だ。

 「『DoCoMo2.0』は、インパクトあるコミュニケーションで『堅苦しい』というドコモのネガティブな印象を打破し、それに続く今回のコミュニケーションや新しいロゴでは、『信頼できる』『優しい』といった、従来あるドコモらしさを表現しました」と樺沢氏は語る。

 6月、各キャリアから新機種、新サービスが続々と発表された。ドコモは906i、706iシリーズに加え、続々とスタンバイしている「アンサー」を軸としたコミュニケーションを推し進めていく。「08年携帯夏の陣」からは、当分目が離せそうもない。

2008年5月11日付 朝刊
2008年5月14日付 朝刊
2008年5月31日付 朝刊