液体ハミガキ市場活性化のため通常にはないアプローチが奏功
「臭(にお)わぬマウスにたたりなし」「急がばウオッシュ」など、その数51パターン。「ルー語」と格言をミックスさせた「オーラルケア格言」のコピーが連日、複数面にわたって紙面を飾った。そのインパクトに、つい視線も止まる。3月1日から2週間掲載したサンスターの小型マルチ広告だ。
無関心な消費者層にまずは認知を
現在の液体商品市場を、マーケティングサービス部の梶山浩司郎氏はこう語る。
「液体ハミガキを使用される方は約4人に1人で、未使用者の方が多い。当社は液体商品市場でトップシェアをいただいていますが、さらなる市場拡大が急務です」
使用率が低い要因の一つは、「使う必要がないものと認識されているからでは」とも分析する。「そもそもデンタルリンスを加えた、お口のケアの必要性を感じられない方が多く見られます。今回のキャンペーンは、液体商品に無関心な方々に、まずは認知していただくことを目的としました」
ブランドを横断し予想を超える反響
2008年3月1日付 夕刊
G ・U ・MとOra2の両ブランドには、すでに確立されている広告のトーン&マナーがある。今回「液体だから!」のメッセージのもと、同社初の、ブランドを横断する企画で挑んだ。
「ブランドごとのコミュニケーションを試みるのが通常でしょうが、それよりも上位概念である『サンスターの液体商品シリーズ』という立ち位置からのメッセージを発信しました。それにより、ターゲットを区切らずに液体の良さを広く伝えられると考えたからです」
しかし、ありふれたコミュニケーションでは消費者はなかなか振り向いてくれないことも事実。そこで、『ルー語』を使ったコピー、複数の小型広告を2週間連続掲載するなど、通常の広告にはないアプローチのアイデアにこだわった。
「旬の素材であること。そして話題になること。要件を満たす候補者の中からタレントのルー大柴さんを起用。昨年から続く『ルー語』のトレンド、その親しみやすい人柄、タイミング、ともにうってつけでした」と梶山氏。
また、『ルー語』が、単なる言葉遊びにならないよう、ユーモアが織り交ざる英語と、「マウス」や「ウオッシュ」といった液体商品に関する言葉を一体化させ、コピーとして昇華させたと語る。「新聞の小型広告という限られたスペースではあえて商品説明をせず、最小限の要素で構成し、コピーの力を最大限に発揮させました」
そこには「言葉の力」で、まずは液体商品に無関心である消費者の注目を得るという明確な狙いが見て取れる。広告の反響は予想以上。同社のお客様相談室には「これまでの新聞広告では到達できなかったくらい」の大きな反応があったという。
2008年3月14日付 朝刊
「同日紙面の小型マルチ広告や日ごとの掲載バリエーションにより、読者の期待を日に日に高めることができたのも新聞の魅力です。またこのようなトーンの広告を、社会的信頼度の高い新聞で展開したことで、我々の『本気度』が読者に伝わったと思います。もし他媒体で展開すれば、違った反応であったかもしれません」。主要5都市のトレインジャックも実施し、確かな相乗効果も得られた。
「面白いことをやって、注目だけを集めればよいとは、考えていません。液体商品という存在を覚えてもらった消費者に対し、スタンダードなアプローチをした上で、我々の商品や考え方を正しく理解していただく。その結果、購買につながるという流れが大切だと考えています。それが消費者にとっても我々にとっても、一番幸福なことではないでしょうか」(梶山氏)
店頭POPでは、「液体だからすみずみまでひろがルー」という、新聞広告よりも一歩踏み込んだ商品寄りのメッセージを訴求した。新聞広告がきっかけとなり店頭に導かれた消費者を、ベネフィットのある各種商品が迎える、という正攻法かつ二段構えの訴えかけがなされている。
「常に人々の健康の増進と生活文化の向上に奉仕する」という社是のもと企業活動を続けてきた同社。その意義をかみしめながら、「時代やメディアを取り巻く環境は変わろうと、消費者に満足してもらえるような商品を届け続け、サンスターファンを増やしていきたい」と梶山氏は力強く結んだ。