1500号を記念し 15段+小型広告を連続展

色と形でイメージを統一書店プロモーションとも連動

 宝島社が発行する「別冊宝島」。“読者の好奇心にこたえる、今、売れるもの”という切り口で、学問、文化、ノンフィクション、娯楽、実用などバラエティーに富んだ情報を発信する同書が、今年2月に通巻1500号を迎えた。これを記念し、1500号から1509号までの10タイトルを2月7日に同時発売。発売当日から10日間、朝日新聞朝刊で15段広告と小型広告のシリーズを展開した。

ユニークなコピーで10冊の記念本を紹介

 鈴木朝美氏 鈴木朝美氏

 シリーズのスタートを飾ったのは、カラフルな15段広告。ズラリと並ぶ四角形の色は、昨年9月にリニューアルした同書のロゴにちなんだもので、赤は「カルチャー&スポーツ」、青は「スタディー」、黄は「ホーム」、緑は「ノンフィクション」を意味する。これらの色に応じ、一斉発売した10冊のタイトルを散りばめた。ピンクだけは特別で、アニバーサリー号にあたる1500号『長くて曲がりくねった道』専用の色だ。

 それぞれ、本の内容に興味をそそられる意味深なコピーが添えられている。

 『ニッポンの笑い VOW!!』→「本屋で笑っている人がいたら、この本です。」

 『おじいちゃんにも、セックスを。』→「朝日新聞よりもっと昔から、『ジャーナリスト宣言』しています。」

 『もっとすごい!!「このミステリーがすごい!」』→「小説は事実よりも奇なり、でなくっちゃ。

 といった具合だ。クリエーティブは、電通第5クリエーティブディレクション局のコピーライター玉山貴康氏、アートディレクター青木謙吾氏が担当。

 「10冊のうちの半分は、今の時代を切り取るテーマ、残りの半分は、“このミス”“ファッション”など当社の財産といえるテーマを扱っています。第一に目立たせたかったのは、1500という他のムックに例がない数字の大きさ。デザイン的な工夫により、テーマもターゲットも違う本を、統一感をもって見せることができました」とは、宣伝部・宣伝部長の鈴木朝美氏。

 コピーは、玉山氏がたたき台を作り、鈴木氏が間に立って編集部と意見を調整。ある程度練り上がったところでクリエーターと各担当編集者が直接会い、表現を磨いた。複数の中で生きるコピー、突き出し広告で生きるコピー、といったことも厳密に検証した。

 「共感できるコピー、まじめなコピー、クスッと笑いたくなるコピーなど、バランスよく配分しました。また、突き出し広告の掲載は社会面にこだわり、その難しい注文にこたえてくれたのが朝日新聞でした」

新聞広告がPOPやしおりに

 一連のクリエーティブは、しおり、POP、ポスターなど書店のプロモーショングッズにも転用した。「新聞で見た色と形が何となく頭に残っていて、店頭のPOPや本の表紙でピンとくるという仕掛けです。広告と書店のプロモーションをいかに連動させるかが常に課題でしたが、新聞広告がダイレクトな販促ツールになることと、今回発見しました」

 当初は書店や営業担当者から「本の広告っぽくない」というマイナスの意見も上がっていたそうだが、掲載後は「宝島社らしくてユニーク」との好意的な感想に変わっていったという。

 「10冊の売れ行きも好調で、ランキングの上位をにぎわすことができた」と鈴木氏は喜ぶ。

 ちなみに、1502号は同社の企業広告の歩みを特集した1冊となっている。インパクトを持った広告クリエーティブを変わらず提供し続け、本にできるほどの蓄積を重ねてきたということだ。クリエーターにはいつも、「あわよくば広告賞」と言って面白い提案を求めているという鈴木氏。新しい広告表現を求めて挑戦し続ける姿勢は、今後も変わらない。

 「1500号はスタートでもゴールでもなく通過点。編集面でも広告表現においても、硬軟様々なテーマを鋭く切り取り、社会にメッセージを発信していきたいですね」

 次はどんな提案をしてくれるのか。目が離せない。

社会面に11日連日(休刊日除く)掲載した小型広告

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新聞広告のクリエーティブは書店のPOP(右)や 本のしおり(左)としても活用され、販促とも連動した