トリプルワイドで冷蔵庫と洗濯機を訴求

ユニークなクリエーティブと大きなスペースでインパクト

 庄司敬一氏 庄司敬一氏

 日立アプライアンスは、昨年11月22日と12月22日に、トリプルワイドの広告を朝日新聞東京本社版夕刊で展開した。

 11月の広告に掲載したのは、10月に発売した「日立まんなか冷凍冷蔵庫」のR-X6000。国内で販売されている冷蔵庫の中でも最大容量が売りだ。

 「冷蔵庫の扉を開けるイメージで、広さや大きさを表現する広告をやってみたいと思ったのがきっかけでした。15段の縦半分を片観音開きにすることは可能との話を、当初朝日新聞社から聞きましたが、それだと残念なことに、こちらが希望したものとはページの開く方向が逆だったのです」と、日立アプライアンス商品計画本部宣伝部部長代理の庄司敬一氏は経緯を話す。そこで朝日新聞社側から提案されたのが、トリプルワイドだった。見開き30段の間に裏表印刷されたペラ(計30段)が挟み込まれる形式だ。

ふんだんな紙面で写真も情報も

 商品発売時に通常展開するテレビCMでは、15秒で語れることは限られる。一方、同じタイミングで打つ新聞広告には、ウェブやカタログとまではいかなくても、ある程度詳しい情報を盛り込まざるをえないため、商品写真が小さくなってしまいがちだ。

 「でも、60段あれば写真も大きく使えます。冷蔵庫の中に何が入っているかがわかるほどの大きな写真でインパクトをねらいました」と庄司氏。見開き30段に写真だけを掲載して、見た目で大容量を訴求し、残りの30段は「冷蔵庫新聞」という新聞体裁の広告特集によって、新しい機能について説明した。

 「60段もあるのでたくさんの情報は詰め込めますが、一方で、読んでもらえないのでは、という不安も。しかし、新聞体裁ならば文字が多くても不自然ではないし、読む気になってもらえると思いました」

 反響は上々で、広告掲載後、問い合わせの電話件数がはねあがった。「企業のやる気や本気度が読者に伝わったと思います」と庄司氏。「テレビCMとの相乗効果も大きかった」という。

社内や営業拠点にも大きくアピール

 この冷蔵庫広告の成功を受け、昨秋発売のもうひとつの目玉商品であるドラム式洗濯乾燥機も60段のトリプルワイドで展開した。「実は冷蔵庫の広告を作る際、冷蔵庫の写真を原寸大で掲載したかった」と庄司氏。だが、写真が大きすぎて何の広告かわからないのでは、という心配の声が出たこともあって断念していた。「洗濯機では思い切って大きな写真に挑戦してみることにしました」

 この洗濯乾燥機の売りは、大きなドラムと、風の力を使って従来品よりもシワを少なく乾燥させる機能だ。初めの30段では大きなシャツの写真を掲載した。従来品で乾燥させた場合と、同商品で乾燥させた場合のシワの出具合がひと目でわかる仕掛けだ。さらにページをめくった次の30段には、原寸大のドラムの迫力ある写真を載せた。「冷蔵庫でできなかったリベンジです」と庄司氏は笑い、こう続けた。

 「冷蔵庫は、真空冷蔵することで様々な栄養素を守るという機能なども伝えたかったため、しっかりと説明する必要がありました。一方、洗濯乾燥機は多くを語るよりもビジュアルで見せたほうが効果的と判断。結果として商品特性に合った紙面の使い方ができたと思います」

 こうした広告には、社内だけでなく地方の量販店などからも反響が寄せられる。

 「当社には全国に営業拠点があるため、洗濯機の広告は1,000部増し刷りし、セールスマンに販促用ツールとして配布しました。

 今回のトリプルワイドは首都圏で掲載しましたが、掲載範囲を全国に広げていければいいなと思います」と庄司氏。また今後の広告展開について、「ほかにもトリプルワイドを使って訴求したい商品はあります。特性をうまく生かし、商品に合った様々な表現ができるのではないかと考えています」と語った。

見開き30段の間に裏表印刷されたペラ(計30段)が挟み込まれている。
抜き取れるとともに、めくると新たなビジュアルが登場する

2007年11月22日付
2007年12月22日付