天声人語横で、シヤチハタがエッセーの広告シリーズを展開

 オフィスでおなじみ、朱肉要らずの印鑑で知られている「シヤチハタ」。同社では毎月朝刊の天声人語左で、シリーズ広告を展開している。『シヤチハタ模様』と題した、各著名人による「はんこ」にまつわる読み切りショートエッセーのスタイルだ。その背景や狙いについて、営業企画部部長の横井徳人氏に聞いた。

── 出稿経緯をお聞かせください。

横井徳人氏 横井徳人氏

 効果的な企業広告の機会は恒常的に探していたのですが、朝日新聞の紙面リニューアルで天声人語の横に新たな広告枠ができたのを機に、そのスペースを使って何か面白い展開ができないかと考えました。そして、天声人語の続きで読めるようなエッセー風がいいのではと思ったわけです。

 新聞広告は、たとえ小さなスペースでも、仕掛けだけで注目を集めることができるツールです。これまでも定期的に出稿していましたが、オフィスで使われることが多い性質上、掲載は平日がほとんどでした。しかし今回のような読み物の体裁の場合、休日の方がゆっくりと読んでいただけるだろうと考え、日曜日中心の掲載としま した。

── 広告の目的、こだわった点は。

 印章文化の良さや便利さをエピソードにのせてさりげなく伝えることを第一の目的に、読んで楽しく、時にニヤッ、ホッとする、温かい気持ちになる、爽快(そうかい)な気持ちになる、そんな読み物としても魅力ある広告を目指しています。同 時に、事務的イメージの強いシヤチハタを、より身近に、親密なものに感じていただくことで、弊社への安心感や親近感につなげたいという思いもあります。当然、各作家さんの力量に頼る部分が大きいため、人選は慎重に行っています。

 弊社では今までになかったスタイルの広告ですが、おおむね好評で、過去掲載分を読みたいというリクエストもありました。多くの方に好感を持っていただいているのは、我々つくる側も一読者として読んで楽しくなれるものが出来ているからではないでしょうか。

── 文字の中にポンと捺(お)されたような印影も印象的です。

 変わった形の印影が使われた時には「こんなものも作れるの?」という問い合わせもあり、シヤチハタ印は名前だけではないことも伝えられたという、プラス効果もありました。

── 今後の課題は。

 このスタイルの継承・展開も視野に入れながら、限られた予算の中でより効果的に、たくさんの方に届くメッセージの方法を見つけていきたいと思います。

2008年 
8/3 朝刊
2008年
9/7 朝刊
2008年 
11/9 朝刊
1/4 朝刊
2008年
10/5 朝刊
2008年
 12/8 朝刊
2/1 朝刊

これまでに、リリー・フランキー氏(イラストレーター)、戸田奈津子氏(映画字幕翻訳者)、香山リカ氏(精神科医)、弘兼憲史氏(漫画家)、阿川佐和子氏(文筆家)、井筒和幸氏(映画監督)、北野 大氏(明治大学教授)などが執筆