「チョーヤ梅酒」は「国産梅100%使用」をうたった企業広告を2008年11月16日付の朝日新聞朝刊に掲載した。宣伝企画課係長の川端浩太郎氏に聞いた。
── 出稿の経緯は。
多くのメーカーによる梅酒市場への参入や、2005年ごろからの「梅酒ブーム」で、梅酒バーや地場産の梅酒を置く居酒屋も増えました。梅酒が注目されるようになったのはありがたいのですが、チョーヤ梅酒は大量生産のイメージが先行し、手作り梅酒とは対極の商品に位置づけられてしまいました。当社はテレビCMなどを通じて「梅酒といえばチョーヤ」と広く消費者に認知していただいていますが、商品内容までは理解されていなかった結果です。そこで、「チョーヤの本当の姿を知って欲しい」という思いから、これまでも企業広告の出稿を行ってきましたが、その意義は近年さらに強いものとなってきました。
── クリエーティブのポイントと反響は。
私たちには「梅酒一筋、梅酒づくりに最もこだわってきた」という自負があります。
主原料の梅の種類、梅農家、無添加、熟成期間……たくさんの言いたいことのなかから、今回はあえてテーマを絞り、キャッチコピーを社の理念である「梅農家とのきずな」とし、創業以来一貫して100%国産梅を使用していることを訴えました。
ビジュアルには当社のシンボリックな梅酒「紀州」を全15段紙面の天地いっぱいに入れ、紀州の山と梅の写真を配置。広告を通して、自画自賛にならないように、企業としての静かな自信を伝えることにこだわりました。
「ビジュアルのインパクトがある」といった声に加え、「信頼が増した」「国産梅100%とは知らなかった」と今までにない声もいただけたのはうれしかったです。
── 新聞広告の役割、今後の展望をお聞かせください。
消費者に理解を深めていただくためには、大切なものを失わずに、言い続けなければならないのだと、今回の広告で改めてわかりました。
そうしたコミュニケーションには、新聞が最も適していると思います。新聞の特性は、社会性の高さ、活字による説得です。企業としてお伝えしたい姿勢や倫理観、商品へのこだわりは、新聞だからこそ表現できることです。また、興味のある人にはじっくり細かく読んでいただくことができます。
テレビCMはイメージ中心のエモーショナルなものととらえていますが、新聞は「語りの世界」として、少しロジカルに、そしてどこかで感覚的にすんなり受け入れていただけるよう心がけています。新聞を日頃読んでいる人たちとのコミュニケーションが図れ、企業としてのブランドを構築するために、今後も継続して、メッセージを伝えていきたいと思っています。