ミドル男性用化粧品ブランド「LUCIDO(ルシード)」を展開するマンダム(本社・大阪市)は、40代にピークを迎える脂っぽい汗の臭いを「ミドル脂臭(ししゅう)」と名付け、自社が制定した「ミドルの日(316→3月16日)」に合わせ、朝日新聞のデジタルメディア「withnews」「&BAZAAR」と「HUFFPOST」において、ネイティブ広告を活用したキャンペーンを展開した。
百戦錬磨の「銀座のママ」が伝授 成功する男の「身だしなみの5箇条」とは?――― そんな刺激的なタイトルの記事が2017年3月、東京・銀座に高級クラブを構えるオーナーママのあでやかな和装姿の画像とともに、「HUFFPOST」(ハフポスト日本版)のページを飾った。名刺だけなら5万枚は交わしてきたという敏腕ママに「できる男」の身だしなみをインタビュー。「『臭い』のはマナー違反。ニオイまで気配りを」と指摘し、「成功の秘訣(ひけつ)は努力が全て。努力は自信を生み、人前でも堂々とできて、それが大きな魅力に映ります」と、ミドル世代にエールを送る内容で、掲載から早々に10万ページビューを超え、大きな反響を呼んだ。
マンダム広報部主任の奥田志保氏は「ミドル世代に共感や気付きが広がったのではないでしょうか。新聞社の持つ信頼性と企画力を生かし、銀座のママという説得力のある方に、『ミドル脂臭』を第三者目線で語っていただいたのが良かったと感じています」と話す。
ヘアスタイリング剤やフェース&ボディーケア商品といった、日常の身だしなみやおしゃれ全般に関わる商品を取り扱うマンダム。「男性の体臭」を主要な研究テーマとして位置づけ、臭いの抑制と、清潔でスマートな生活をもたらす商品の研究開発に長年取り組んでいる。臭気判定士を含む嗅覚(きゅうかく)評価専門の研究員が、10代から60代まで、年間約200人以上の体臭を直接嗅いで測定し、独自の解析技術でニオイの発生メカニズムの究明、抑制技術の開発、効果的な商品づくりにつなげてきた。
同社が長年の研究成果として、2013年に原因成分と発生のメカニズムを明らかにしたのが「ミドル脂臭」だ。男性の臭いといえば「加齢臭」が広く知られる中で、50代以上の枯れ草のような臭いとも、20代以下の酸っぱいような汗の臭いとも異なる、使い古した油のような鼻に残る「第3のニオイ」が30代~40代を中心としたミドル世代に発生すると発表した。社員の一人がスポーツクラブのロッカーで、年代によって体臭が異なっていることに気づいたのをきっかけに、臭気判定士を含めた研究員による約800人分にものぼる臭い判定や独自研究を重ねた結果、ミドル脂臭は「ジアセチル」が臭いの原因物質で、主に後頭部や首の後ろから発生することを突き止めた。「アンケートでは、『ミドル脂臭』は男性が自覚しにくく、女性は気づきやすい点が特徴としてはっきりしています。30~40代を迎え、枕がくさいと妻に言われて自分の臭いに気づく男性も多い。しかも女性の方が不快に感じる臭いだから、厄介なんですよ」と奥田氏は話す。
同社では「LUCIDO」ニオイケアシリーズに、ミドル脂臭に対応したシャンプー、ボディーウォッシュ、ペーパーを商品化。17年2月には、脇、体だけでなく、ミドル脂臭の発生しやすい後頭部(頭皮)までも1枚で拭き取れる「ルシード カラダと頭皮のデオペーパー」シリーズを新発売した。臭いの元にもなる汗や皮脂を吸着する「ハイブリッド吸着パウダー」、よれにくく、ゴシゴシこすっても耐えられる「トリプルファイバーシート」も採用した。広告展開には俳優の田辺誠一さんを起用し、本人直筆のイラスト「ミドル脂臭怪人」も登場。商品パッケージには「40歳からの…」と明示するなど、ターゲットである40代に強くアプローチを図る中で活用したのは、朝日新聞が提案したデジタルメディアのネイティブ広告だった。媒体が持つ記事のコンテンツや体裁に合わせて広告メッセージを溶け込ませる広告手法で、各編集部と相談を重ねて内容を吟味。冒頭の「ハフポスト日本版」に加え、「withnews」では「真相・妻や娘が枕のニオイを指摘する本当の理由は加齢臭ではなかった」、「&BAZAAR」では、「加齢臭よりヤバイ? 40代特有の『ミドル脂臭』とは」のタイトルで、内容の異なる3本の記事が「ミドルの日」の3月16日から掲載された。同日に新聞広告も掲載し、紙面との連動も打ち出した。
2017年3月16日付朝刊773kb
「ニオイケアに関心を持ってもらい、ミドルの日と、ミドル脂臭の理解促進を図ることが狙いでした。ただ、ウェブ上では企業からの一方的な発信はタイトルだけで敬遠され、読み手に受け取られにくい傾向にあります。そこで注目したのが、ミドル世代の高い接触がある新聞社メディアの活用です。ハフポスト日本版をはじめ、朝日新聞のデジタルメディアはターゲット世代が見ていて、おもしろい記事を出しており、新聞という確固たるメディアと、デジタルメディアが連動する朝日新聞の提案は魅力的でした。企業広告でも、きちんとした記事として、読者の視点に立ち、共感していただけるものを提供できたのではないかと満足しています」と奥田氏は振り返る。
同社によると、男性ボディーケア市場は昨年対比で106%(約224億円)と今後も拡大が見込めるほか、特に会社でも重要な立場に就くことが多いミドル男性の身だしなみ意識が今後も高まっていくと予測される(※2015年4月~2017年3月/マンダム算出データ)。気候の温暖化や節電などにより、日常的に汗をかく機会が増える一方、クールビズの定着で夏場の薄着志向が強まっており、ビジネスシーンにおける臭い対策が今後さらに関心を集めると見られている。奥田氏は「ミドル脂臭をはじめ、気になる体の臭いは少しのケアで防げることが多い。研究開発と商品づくりを通じて原因と解決策をお客様に具体的に提示し、自分の臭いを適切にケアする『スメル(ニオイ)マネジメント』のお手伝いをしていきたい」と結んだ。