「印刷テクノロジー」で社会課題の解決に貢献していく企業を目指す

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凸版印刷は、約170社のグループ会社とともに、SDGs(持続可能な開発目標)に照らし合わせながら、注力すべき四つの事業領域を設定。印刷術から進化・発展を遂げてきた「印刷テクノロジー」のリソースを提供することで社会課題の解決を目指しています。そうした取り組みを企業広告として新聞に掲載。朝日新聞社が主催した「朝日地球会議2016」にも協賛しました。

トッパングループとして注力すべき成長領域を設定

左から、長畑茂男氏/池田文恵氏/佐藤圭一氏

 凸版印刷は1900年の創業以来、クライアントの課題解決に取り組みながら、印刷を軸に事業を拡大してきた。「印刷術」は、印刷物を作り出すために必要なデザインや仕上げ加工・物流などの領域に広がった。さらに、マーケティングやIT、クリエーティブなどさまざまな加工技術が加わり「印刷テクノロジー」へと進化し発展を遂げている。

 創業100周年を迎えた2000年には、新たな企業理念『TOPPAN VISION 21』を制定。金子眞吾氏が社長に就任した2010年からは、「印刷テクノロジー」をコアに、より一層社会課題を解決していく姿勢を強く打ち出している。また、2015年から1年かけてトッパングループとしての新たな事業領域を制定。2025年に向けてグループの総力を結集し、未来の価値を創造していこうという考えだ。「そうした社内の機運と、2015年にSDGsが国連で採択され、社会的な話題となりつつあった時期と合致した」と広報本部広報部部長の池田文恵氏は言う。具体的には、トッパングループの持つ技術やノウハウを基に五つの事業系を規定し、未来の社会課題を予測。SDGsに照らし合わせながらグループとして注力すべき四つの成長領域を設定した。その内容について、池田氏は次のように説明する。

 「約170社のグループ会社の若手社員約50人が中心となり、グループ全体で目指すべき方向性について20回以上、議論を重ねました。そして、新たなステークホルダーや市場、顧客がいるであろう領域を『健康・ライフサイエンス』『教育・文化交流』『都市空間・モビリティー』『エネルギー・食料資源』の四つにセグメント。それらに対してグループ各社のリソースを提供していくことで、課題解決に役立つ会社になることを目標としています。グループとして目指す方向と得意先の理念、どちらにも共感して両輪で動いていくことがBtoB企業のCSV(共通価値の創造)にもつながるのではないかと考えています」

新聞で展開する企業広告 社員向けのツールにも活用

2016年10月3日付 朝刊

 凸版印刷は2016年10月2日、朝日新聞社主催の「朝日地球会議2016」に特別協賛社として参加した。朝日地球会議2016は、最先端のロボット開発をはじめ、教育のIT化、人口減少、男女差別といった課題をテーマに政治家や専門家たちが話し合うというフォーラム。凸版印刷はタブレット端末を使った教育サービス「やるKey」を活用して勉強するメリットや教育ICTの必要性について講演した。そのときの内容は2016年10月3日付の朝日新聞朝刊に採録され、凸版印刷の企業広告も掲載した。

 「朝日地球会議の協賛には、トヨタ自動車やサントリーホールディングスなど大手企業も名を連ね、会場の熱気は想像以上。朝日新聞社のブランド力をあらためて実感しました。新聞の記事と広告は、社内はもちろんクライアントからの反応も大きかった。朝日地球会議に参加したことは、ブランドバリューになったと思っています」(池田氏)

2016年10月27日付 朝刊2.8MB

 企業広告は2011年から年3、4回、継続して新聞に掲載。毎回、キャッチコピーとリードコピーで、社会課題とそれを解決するためのトッパングループの考え方を端的に伝えている。イメージ写真を大きく配したメッセージ性の強いクリエーティブが特徴。数々の広告賞も受賞している。同社広報本部広報部課長兼ブランディングディレクターの佐藤圭一氏は、新聞メディアを活用する理由をこう話す。「凸版印刷の事業領域が広がっていることを知らないクライアントも少なくない。そこで、新聞広告では印刷テクノロジーを軸にさまざまな事業を行い、社会課題を解決しながら世の中を変えていく活動をしていることを伝えています。マーケティングというよりはブランド価値を高めていく活動の一環なので、品格と信頼感のある全国紙がふさわしいと考えています」

 新聞広告の掲載に合わせて、広告の内容を解説するパンフレットを制作した。BtoB企業のブランディングで重要なのは、従業員自ら会社が目指していることを理解し、自分の言葉でクライアントに語れることだという。パンフレットは新聞広告が掲載された翌日、全社員に配布した。朝日地球会議の記事と広告は別刷りし、新聞風の体裁に仕立てている。

 「パンフレットは『昨日、掲載された新聞広告は、こういう内容なんですよ』とクライアント先にも持っていくことができるので、営業ツールにもなります。広告のクリエーティブはパネルにして本社やショールームに展示したり、ホームページにもアップするなど、様々な形で活用しています」(佐藤氏)

 今後の動きについて、同社広報本部CSR推進室課長の長畑茂男氏は、「トッパングループの社会的課題を理解し、ビジネスにどう結びつけていくか。CSRの視点からも橋渡しをしていきたい。CSRのレポーティングやウェブでの情報発信も変えていく必要があると考えている」と話す。佐藤氏は「グループ会社と融合しながら、社会課題に対して新しい事業を立ちあげていくことに挑戦している。新しい商材やサービスが事業化できれば、トッパングループのブランド価値も上がっていくのではないか」と締めくくった。