「わたしらしく輝く」社会の実現を目指し 新しい年齢の重ね方を提唱

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40代の女性読者に対し、「ポジティブ美容」や「ナレ(熟れ)美」など、アンチエイジングとは異なる、年齢に応じた美を提唱してきた宝島社の女性誌『GLOW』 。この度、朝日新聞社とともに、さらに様々なパートナー企業と連携しながら、新しい年齢の重ね方を考え、提唱する「Aging Gracefully」プロジェクトを開始しました。

「アンチエイジング」ではなく 自分らしく、優雅に年を重ねる

 美容とファッションを2大テーマに、40代の女性をターゲットにした『GLOW(グロー)』が創刊されたのは2010年。当時、女性誌においては「いかに実年齢より若く見せるか」を競う「アンチエイジング」の考えが支配的だった。そのような風潮に対し、同誌編集長の大平洋子氏は違和感を抱いていたという。

 
『GLOW(グロー)』『GLOW』では、たるみ・白髪・不安感など45歳を境目に自覚することの多い心身のモヤモヤを 「45歳の壁」と名付け、解決や改善に向けた様々な特集を展開している

 「せっかく年齢を重ね、様々な経験を積んできた女性が、ことさら自分を若く見せる必要があるのだろうか。そうした考えにとらわれるのは、実はとてももったいないことなんじゃないか、と思っていたのです。だから『GLOW』では創刊以来、『アンチエイジング』という言業はなるべく使わず、『ポジテイプ美容』や、その年齢なりの成熟した美しさを表す言業として、『ナレ(熟れ)美』というキーワードを掲げてきました」と大平氏は語る。

 若返りを目指すのではなく、年齢を重ねることを価値あることと捉え、年齢に応じた美しさ、価値観を大切にする。そんな風潮は4、5年前から海外でも広がり始めており、「Aging Gracefully(=侵雅に年齢を重ねる)」という言葉で表現される。日本でも化粧品メーカーがエイジングを否定しないメイクを提唱し、「年を取ることもポジテイブにとらえたい」と考える女性が増えてきた。

「Aging Gracefullyのウェブサイト」
https://aginggracefully.asahi.com/

 「『人生100年時代』などと言われますが、2020年には日本の女性の半数が50歳以上となり、40代、50代の女性がマジョリティーになります。この世代がすてきに年を重ね、自分らしく、輝いて生きることができるかどうか。それが、未来の日本が明るいかどうかの決め手になるはずです」

 人生100年時代は、従来の単線的なライフプランでは対応しきれず、生き方がますます多様化する。これまでの固定的な役割から解放され、自分らしく、自由に生きられる可能性が広がっていく。

 「ただロールモデルもないため、これからの生き方に不安を感じている女性も少なくありません。特に「45歳の壁」と言われるように、この頃から心身の不調が現れ、職場でも家庭でも壁にぶつかる人が多いのが現実です。そのような世代が不自由に思っていること、困っていることを共有し、解決策をともに考え、提案していくことも、メディアの重要な役割だと考えています」

 そのような背景、思いから、宝島社『GLOW』が朝日新聞社とともに始めたのが「Aging Gracefully」プロジェクトである。家庭や職場での役割意識にとらわれず、心身の変化にうまく対応しながら、ゆるっと優雅に、自分らしく輝く。そんな新しい年齢の重ね方をみなで考え、そのような生き方ができる社会を目指す取り組みだ。

新聞社、パートナー企業と共に 大きな社会的ムーブメントへ

 2018年4月23日にはプロジェクトのスタート宣言といえる、30段のカラー広告を朝日新聞に掲載。日本の女性全体を100人に置き換え、様々な年代の女性が前を向いて笑顔で歩いているビジュアルを使った広告は、大きな反響を呼んだ。

2018年4月23日付 朝刊667KB

 「これを見れば40代、50代以降が圧倒的に多いことは一目瞭然です。この世代が生き生きと、輝いて生きることが、下の世代の安心や希望にもつながります。新聞広告の反響は大きく、知人や読者から『すごくいいプロジェクト、何かお手伝いできることがあれば声をかけて』『この価値観が世の中に広がれば、もっとみんなが生きやすくなる』などといった声をもらいました」

 今後、『GLOW』や朝日新聞、『AERA』では「Aging Gracefully」をテーマにした企画を積極的に掲載し、プロジェクトサイトでも展開していく。さらにパートナー企業と連携しながら、大きなムーブメントヘと広げていく予定だ。

2018年4月23日付 朝刊318KB

2018年4月23日付 朝刊559KB

 「『GLOW』 はファッションや美容に関するコンテンツが柱ですが、女性のこれからの働き方や生き方、さらには男性も含めた社会全体のあり方に関わる大きなテーマとして、Aging Gracefullyに関わる情報を、もっと発信していきたいと考えています。それだけに、ジャーナリズムの視点からもこのテーマに切り込み、広く問題提起できる朝日新聞と組むことが重要でした」

 さらに今後、女性が自分らしく輝ける社会をつくるために、専門家を招いてのシンポジウムや女性支援に取り組む企業に役立つイベントを、朝日新聞社とともに開催していく予定だ。

 2018年11月11日には、毎年行ってきた読者イベントを朝日新聞や『AERA』と連携して開催。当日はプロジェクトのアンバサダーを務める吉田羊さんのトークショーなどで、大いに盛り上がった。

 宝島社では現在、『GLOW』に限らず、人生100年時代を見据え、50代以降をターゲットにした媒体を積極的に増やしている。そんな宝島社と朝日新聞社が密接に結ぴついたプロジェクトには、様々な業界から期待が集まっている。

大平洋子氏

 「『宝島社と朝日新聞の組み合わせが面白いね』とよく言われます。どちらも既成の価値観に対する批判的な視点を持ち、今の社会を変えてくれるんじゃないか、との期待感があるようです。今回のプロジェクトは、コンセプトづくりから宝島社の編集者と朝日新聞社のスタッフが話しあって煮詰めてきたものです。メデイアは違っても、コンテンツを生み出す人間として、女性が抱える悩みや課題に同じような思いを抱いており、深く共感できました。様々な企業にも、同じ思いを持つ女性はたくさんいるはずです。そのような方々とも連携しながら、これからの時代を生きる女性を勇気づけ、応援していきたいですね」と大平氏は結んだ。